あらすじ・概要
陰陽師の安倍晴明とその友人、源博雅は、博雅が昔出会った美しい女性について話し合う。その女性に十二年ぶりに再会した博雅は、彼女のようすがおかしいことに気づく。博雅は、晴明と都で起こっている事件を追ううちに、その女性が事件に関わっていることに気づく。
女の老いと嫉妬と情けなさがつらい
再読。十二年前に心惹かれていた女性に再会した博雅と、貴船神社を舞台にした呪詛がからんでくる話。
シリーズものですが新聞連載されていていただけあってキャラクター紹介はきっちりしているので、ここからでも読めます。
序盤に語られたこまごました逸話が最後に回収され、一つの悲劇を形作るのは面白かったです。
女性の嫉妬、老い、男性への執着をテーマにしていながら、語り口は優しいです。それは徳子姫を慕う博雅の優しさのおかげでもあります。
博雅は暴力を悲しむ一方で徳子姫のやりきれなさ、不遇な境遇に共感を寄せてくれます。それは読者の私にとっても救いでした。
嫉妬に狂った徳子姫は恐ろしいですが、貧しい状況の中で男性に頼らざるをえなかったともいえます。やんごとない女性は外に働きに出られない中、パトロンを失うことは死活問題だったでしょう。彼女がもっと自由に生きられる女性だったら嫉妬も浅かったかもしれません。
どうしようもない人の心のうつろいの中で、苦しむ徳子姫が悲しかったです。

