あらすじ・概要
性別を偽って科挙を受けようとした雪蓮は、同じく性別を偽って試験を受けようとしている梨玉と出会う。どう見ても女の子の梨玉と仲良くなり協力し合う関係になった雪蓮だが、雪蓮は出生の秘密を抱えていた。雪蓮は過去の理不尽からこの王朝に復讐しようとしていた。
独特の設定の中で復讐者の主人公が暗躍
中国王朝の科挙がテーマ、しかもヒロインふたりが両方性別を偽っているという特殊すぎる小説です。まずこの内容を小説にしたということを評価したいですね。
男尊女卑の世界、女性が学問を志すのは困難な時代であがくふたりはかっこよかったです。
単純な女性のサクセスストーリー、というわけでもなく主人公は目的のためには手段を択ばない残酷で狡猾なところがあるというのがはらはらしました。
過去の出来事から復讐者となった主人公が危ない橋を渡ったり、策謀を巡らしたりするところが主人公らしくない主人公ですね。
科挙が題材なだけあって儒教思想が多く登場しています。登場人物がさらっと中国古典の文章を口にするのがそれらしかったです。
儒教に焦点を当てた作品ってなかなかないので新鮮でしたね。
ただ、挿絵が後半になればなるほど雑になっていくのが残念でした。キャラクターのつけているかんざしや耳飾りが明らかに素材のコピペですし……せめて絵に沿って変形したり絵柄に合うように加工したりしてほしいです。