ブックワームのひとりごと

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『西洋美術とレイシズム』岡田温司 ちくまプリマー新書 感想 絵に描かれた肌の色と差別

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西洋美術とレイシズム (ちくまプリマー新書)

 

あらすじ・概要

華やかな西洋絵画の世界だが、そこには当時の差別やステレオタイプがある。著者はノアの息子ハムや、ハガルとイシュマエル親子の旧約聖書の描かれ方からそこにひそむ人種差別について解説する。西洋絵画とそこに描かれる肌の色の深い関係について考えてみる新書。

 

旧約聖書の絵から人種差別を考える

テーマとして扱うのは主に旧約聖書のエピソードを描いた西洋画です。

旧約聖書に登場するのは古代の中東に暮らす人々。しかし西洋の人々はその姿を自分の都合のいいように、思想に添わせるように描きました。

敵対者の人間の肌が浅黒く描かれたり、あるいは異人種でも西洋人に似せて描かれたり……とその差は恣意的です。

明らかに差別的意図のある絵は他の国にあまり紹介されないので、こういう機会を得られること自体が新鮮です。

 

ノアの息子ハムはノアの裸を見たことでノアに我が子を奴隷として扱われる呪いをかけられますが、それが黒人奴隷を正当化する理由として扱われたらしいです。

大規模な黒人奴隷はアメリカが有名ですが、実はヨーロッパにも黒人奴隷はいました。ヨーロッパでは特異な容姿から見世物のように扱われていたようです。

ちょっとした記述なのにここまで悪影響が出るのはなかなかひどいですね。

絵にもその差別性が描かれています。

 

差別を語る以上暗い話題が多くなってしまいますが、黒い肌の聖人、パレルモのベネデットの記述が面白かったです。

彼は黒人の姿で描かれることから反人種差別の象徴として扱われるようになったそうで

ちょっと救いのある話が紹介されているのはありがたかったです。

 

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