ブックワームのひとりごと

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『ドン・キホーテ』セルバンテス 岩波少年文庫 感想 自分を騎士だと思い込んだ狂人の珍道中

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ドン・キホーテ (岩波少年文庫)

 

あらすじ・概要

とある善人の男は50歳にして騎士道物語に夢中になり、自分を高潔な騎士と思い込む狂人となってしまった。お供ののサンチョ・パンサを連れて理想の騎士に近づくためにあれこれ挑戦するが、いつもうまくいかない。やがて狂人ドン・キホーテの名前は有名になり、彼をからかう人も現れる。

 

ドン・キホーテと周囲、おかしいのはどちらなのか?

面白おかしい話と思いきや、結構考えさせられる描写も多かったです。

ドン・キホーテは狂っていて、無謀な冒険に何度も挑戦しますが、いつも失敗します。サンチョ・パンサもその巻き添えを食らって大変な目に遭います。

しかし、女性に優しく、不正義を許せないという素朴な正義感もあります。

サンチョ・パンサもただのツッコミ役ではなく、意外な才能を開花させたり、状況を的確にとらえていたりします。登場人物の中では身分が低いですが、本当に現実的に世界を捉えているのは彼かもしれません。

ドン・キホーテのような狂人やサンチョ・パンサのような「卑しい」百姓の方が正しいことを言っていることもあります。そこが権力に対する痛烈な皮肉を感じます。

 

この物語はスペイン帝国が斜陽になったときに書かれたらしく、ドン・キホーテの無謀な冒険は「世界制覇を夢見て海外にあれこれ手を出したが結局実現できなかったスペイン」を暗喩していると訳者あとがきで解説されています。

ドン・キホーテもスペイン帝国も無謀な蛮勇をしましたが、無邪気にキリスト教の正義を信じられていたあのころは幸せではあったのでしょう。

 

子ども向けの抄訳版ですが、どこがカットされたかあとがきでわかるのもよかったです。

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