あらすじ・概要
この社会には精神疾患の人々が多くいる。そして、彼ら彼女らを世話する人たちも。「精神疾患の妻を持つ夫」という存在に焦点を当て、インタビューによって問題を浮き彫りにしていく。精神疾患の妻を支える夫たちの孤独、葛藤、精神状態とはどのようなものだろうか。
男性特有の悩みが興味深い
男性特有の悩みや、愛しているからこその苦しみが描かれていて面白かったです。
愛しているからこそ簡単には別れられない、でも愛していれば病の妻を支える苦しみがなくなるわけではありません。男性たちの葛藤は続きます。
登場する男性たちは何度も選択を間違い、窮地に陥ります。
しかし、その選択の間違いはジェンダー観だったり、社会の偏見だったり、自分にはどうにもならない同調圧力によって発生したものです。
それを「個人が全面的に悪い」と言うのは良くないでしょう。
個人に向けて福祉サービスが充実するのはもちろんですが、多様な価値観、差別の否定によって個人が取れる選択肢が増える可能性があります。長丁場の対策にはなりますが、やっぱりそこも重要だなと思いました。
体験談形式であり、専門的な話はそこまで多くはありませんが、だからこそ読みやすかったです。
この手のルポルタージュは作家がインタビュー対象に感情移入しすぎていることも多いんですが、この作家は人の話を聞きつつ「それは違うのではないか?」と要所要所で疑問を持ってくれるところがよかったです。全肯定だとちょっとどうなんだと思うこともありますから。
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