ブックワームのひとりごと

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『青年のための読書クラブ』桜庭一樹 新潮文庫NEX 感想 少女たちの苛烈でおかしな青春

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青年のための読書クラブ(新潮文庫nex)

 

あらすじ・概要

ミッション・スクールの聖マリアナ学園には、古くから「読書クラブ」がある。本を読み紅茶を飲むだけのその読書クラブには、学園の事件にかかわってきた歴史があった。醜い才女と美しい馬鹿の奇妙な茶番劇や、聖女マリアナの秘密、バブル時代の革命など、少女たちの事件を描き出す。

 

第一話の完成度が高くて好き

再読。やっぱりこの本は第一話の完成度が高くて好きです。顔はいいものの大阪の下町育ちの紅子を、醜い才女のアザミがプロデュースし、学園の王子として仕立て上げます。聖マリアナ学園では学園のアイドル「王子」を投票で決める風習がありました。

アザミは紅子を王子にするためにあらゆる手を尽くします。

紅子が王子にのし上がるまでのいびつなシンデレラストーリーと、何とも言えない衝撃の結末が面白かったです。

 

一話以外の少女たちも、社会情勢の波の影響を受け、さまざまな事件に巻き込まれます。行き場をなくした人々を受け入れるもの、読書クラブを飛び出してバンドを始めるもの。美しい、だけではない強くおかしく狂気すら覚える少女のエネルギーに心を打たれます。

エンタメ要素が強いですが、少女の持つエネルギーを信じるという点ではフェミニズム敵でもあるのかもしれません。

 

 

久しぶりに読み返しましたが、新版の表紙はあまり内容と会っていないのではないでしょうか。耽美で、おかしくて、破滅的で、明るいこの本には青春のキラキラした絵は似合わなかったのでは。ハードカバーのゴシックな雰囲気の方がよかった気がします。

 

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