ブックワームのひとりごと

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『欧州連合:統治の倫理とゆくえ』庄司克宏 岩波新書 感想 EUはなぜ域民に嫌われるのか?

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欧州連合: 統治の論理とゆくえ (岩波新書 新赤版 1099)

 

あらすじ・概要

ヨーロッパ統合のために生まれた欧州連合。域内の国境移動の自由や、通貨ユーロを作るなど統合を進めた。経済的な利益がある一方で、ヨーロッパの国々の人々はEUに不満を持っている。それはどこから来るのか。EUと各国の思惑と対立を説明する本。

 

なぜEUはヨーロッパの人に嫌われるのか?

著者は全体としては欧州連合肯定派ではありますが、個々のヨーロッパの国でどうして欧州連合への不満がたまるのか説明してくれています。

EUを作ることにより欧州は大きな経済圏を持ち、商業的な成功を得ました。しかし、EUという概念ができたことで個々の国ではなくEUのルールに従わなくてはならなくなりました。それが国同士の軋轢を生み、EU域民が不満を溜める理由となっています。

実際に国のルールとEUのルールが対立した時の裁判例を紹介してくれていて興味深かったです。こういうニュースは日本に入ってこないので、本を読まないとわからない情報です。

中絶禁止やトランスジェンダーの権利などについては認める、認めないが生々しかったです。

 

東欧の国々やトルコのEU加盟事情も参考になりました。

経済圏が広がれば儲かるチャンスも増えるものの、貧しい人たちを抱えるというリスクも負います。

この世は資本主義社会なので利益を確保しないと生きていけませんが、むやみに領域を増やせばまた人々の不満がたまるという難しいバランスの中でやっているんだなと思いました。

 

人権感覚の進展によりヨーロッパは植民地の独立を許容し、ヨーロッパ域内で生き延びる方法を模索することになりました。

植民地がなければヨーロッパはアジアよりずっと小さく人口も少ない地域です。その小さな領域ゆえに面倒なことも多いのだろうなと思いました。

 

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