
あらすじ・概要
大富豪たちが乗った潜水艇、タイタンが消息を絶ち、その後大破したことがわかった。タイタンはなぜ沈んだのか。沈没船タイタニックに対する過剰な思い入れや、権力欲や金銭の問題が経営者を無謀な計画へと導いた。タイタンに関わった技術者たちもタイタンについて語る。
こういう人間に権力を持たないでほしい
人間は愚か! って感じのドキュメンタリーでした。技術者倫理について考えてしまいます。
炭素繊維でできた潜水艇タイタン。その夢を実現するために技術者立は奔走しますが、計画は名誉に目がくらんだ経営者によって安全性が剥がれ落ちていくこととなります。
当局の法規制をかいくぐり、設計段階から十分なテストをせず、運用中も半ば壊れた潜水艇を使い続け、禁止されていた改造も施します。
この状況で技術者たちは退職したり告発しようしたりと計画に抗議しますが、経営者は代わりにイエスマンの従業員を雇い入れ、計画を止めませんでした。
そうして最悪の事故が起きます。
倫理ある技術者たちはできるかぎりのことはしましたが、それでもタイタンの事故がつらい記憶になってしまっているようでした。
自分たちが作った夢の潜水艇が人を殺したという事実を背負って生きていくのはつらいでしょう。
安全は乗客を守るのももちろんですが、内部の技術者のためでもあると思いました。
経営者が一番悪いのは前提なのですが、権力と金がなければただのおじさんなわけで、こんな人間に権力を与えた方も悪いんじゃないかと思います。
タイタニック探査というロマンに出資した富裕層も、潜水艇タイタンのことをことさらに美化して伝えたメディアにも、相応の責任があるのではと思いました。
『誇り高い技術者になろう[第二版]―工学倫理のススメ』黒田光太郎・戸田山和久・伊勢田哲治編 名古屋大学出版会 感想

