あらすじ・概要
著者は日本のアニメをメンタルヘルスの治療に役立てることを目指している。映画や小説など、メンタルヘルスの分野でフィクションの活用は既に行われている。その現状や、効果に対する統計を紹介しながら、著者が目指す「アニメ療法」がどのようなものか説明する。
面白いけど、押し付けられたくはないな
作者の熱意には一目置くし、フィクションが人間に与える影響を否定はしないのですが、感情的な部分では同意できないところもありました。
著者はメンタルヘルスとフィクションについての研究を紹介しながら、アニメをはじめとするポップカルチャーで人の心を治療する可能性を提示します。
映画や小説などで既に行われている物語を通しての治療をアニメにもあてはめようとします。
小説や映画など、フィクションが治療の現場で使われている例は面白かったです。
著者のアニメへの熱意とは裏腹に、この本が出版された時点では著者の研究はうまく行っていないようです。それはひとりのオタクとして「そうだろうなあ」と思ってしまいます。
人がフィクションに救われ、癒されることがあるということは否定はしませんが、「自分が弱い人たちにフィクションを与えて、考え方を変えてあげよう」と思うこと自体が正直うっとおしいです。治療者と患者としてではなく、オタク同士としてそう思います。
そして、科学的に物語への没入感や物語に対して感じる思いをコントロールしようとすることは結構怖いことだと思います。それが成功したら洗脳と同じです。
「患者にふさわしい物語を与えよう」というのではなくたくさんの作品から選ばせたり、患者自身がこの作品が嫌だな、と思う気持ちを大切にしてあげたりする方が大事なのでは、と思いました。
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