あらすじ・概要
ASD、アルビノなどさまざまな属性を持つ著者は、つながらなければマイノリティについての知識を得られないことにぶつかる。当事者会のメリットも認めつつ、当事者同士が助け合わなければならず、行政の支援が滞ることに憤っていた。つながらない権利のためにはどうすればいいか。
なぜ罪悪感を表明してしまうのか
著者はマイノリティがつながりを強制されることに警鐘を鳴らします。
コミュニケーションが苦手なマイノリティ、複数の属性を持つマイノリティなど、当事者会につながりにくいマイノリティもいます。
ASDの特性を持ちコミュニケーションが苦手な著者は「つながり」を強制されることに憤りを感じます。
後半は前半の内容を踏まえて、著者が異なる価値観の人と対談していきます。
このくだりで著者はすごいな、「つながる」ための努力をしているじゃないか。私だったら価値観の違う人と対談したいなんて面倒で思わないけど……となりました。
著者は言うほどコミュニケーションができていないわけではないのではと思いました。
対談によって価値観を修正した著者は「つながらない権利」とは何かをまとめ、今の社会がやるべきことを語ります。
しかし著者の主張は間違ってはいないものの、心情的に気になる面もあります。
気になるのは罪悪感を表明しすぎな点です。
自分がここでいろんなマイノリティの人の本を紹介する上で、罪悪感を覚えることもあります。そんなときでもなるべくそれを言わずに思ったことを述べるにとどめています。
どうしてマイノリティの人が本を書いたかって、自分の話を聞いてほしいからでしょう。罪悪感を感じた自分を「わかってほしい」と思った時点で私の話になってしまう。相手は自分のつらさを、少しでも楽にしたいから発信しただけで、私が傷つくところを見たかったわけではないと思うからです。
自分が恵まれた環境に生まれたのはそれこそ「運」だからそこの話をしてもどうしようもないです。できることは相手を憐れむことではなく幸運で得たものをを格差をなくすために使うことだけです。
著者にとって噓偽りない本音だとは思うんですが、だからこそ相手との格差を恵まれた人間側から再確認されるのは屈辱的なので、やめた方がいいと思います。
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