あらすじ・概要
乳製品にまつわるフィールドワークをしている著者は、アジア、ヨーロッパにおける乳製品の利用について語る。乳製品はどのようにして人間に利用されるようになったのか、そして現代乳製品はどのような文化をもたらしているのか。ミルクの不思議を感じさせる新書。
乳製品と人類をめぐる物語
日本では乳製品といえばヨーロッパですが、実際にはアジア圏での利用が多いです。著者がフィールドワークしたシリアの人々の中にはカロリーのほとんどを乳製品に頼る民族もいます。
高いカロリーと栄養素、おいしさを持つ乳製品はさまざまな場所で利用されてきました。
各民族は乳をバターやチーズに加工し、保存可能な状態にして暮らしてきました。その過程には民族ごとに特色があります。家畜の胃を利用して保存しようとするところが面白かったです。
この本では、乳製品がバターやチーズになる科学的な理由にも触れています。
一方で、動物の子どものために分泌されるミルクを人間が利用するには困難が伴います。いわば人間は動物のミルクを泥棒しているようなものなので不自然な行為なのです。酪農が機械化された現代は特殊な状況なのだなあ、と感じました。
文章のところどころで著者が各国の乳製品の味を解説してくれるのですが、その説明がおいしそうで楽しかったです。私も海外の乳製品を食べたくなってきました。
『食べものから学ぶ現代社会――私たちを動かす資本主義のカラクリ』平賀緑 岩波ジュニア新書 感想

