ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

歴史

戦時中をスパイたちが駆けていく 柳広司『ダブル・ジョーカー』感想

セールで買ったもの。おまけ掌編が入ってないとかケチだな……! あらすじ 軍属でありながら独自の方法で諜報活動を行う「D機関」。彼らは戦時中の日本で暗躍する。太平洋戦争開始直前、陰謀渦巻く世界で彼らが見たものとは……。スパイたちの活躍を描く連作短編…

ボリビアの日系医学生、独裁政権と戦う 『エルネスト もう一人のゲバラ』感想

見終わってからの感想「サブタイトルいらなくない?」 あらすじ 日系ボリビア人フレディは、医者を目指すためキューバに留学した。そこで出会った軍革命の指導者エルネスト・チェ・ゲバラのカリスマに惹かれていく。おりしも冷戦の緊張が高まり、キューバは…

戦後を家事労働にかけた女中の半生 吉村きよ『女中奉公ひと筋に生きて』感想

とあるブログでおすすめされて気になった本です。 あらすじ 貧しい家の暮らしから奉公に出され、女中となった筆者。結婚した相手には駆け落ちされ、一人で子どもを養わなくてはならなくなった。生きるために女中奉公をし続けた女性の自伝。

時代によってコロコロ変わる「死刑」の意味 バーバラ・レヴィ『パリの断頭台 七代にわたる死刑執行人サンソン家年代記』感想

こないだ読んだサンソンの新書が、面白かったけれど若干感情的に過ぎる気がして、もう一冊読んでバランスを取ろうと思いました。 honkuimusi.hatenablog.com 書籍概要 七代にわたってパリで死刑執行人を担当してきたサンソン家。フランス革命を中心に、彼ら…

戦争を生き延びたある女性の「普通」な毎日 こうの史代『この世界の片隅に』前後編感想

映画が面白かったので原作も読むことにしました。 表紙の画材は水彩かなあ。 あらすじ 広島から呉へと嫁いだすず。夫とその家族とおだやかに暮らすが、その端々に戦争の影は迫っていた。やがて呉への空襲が始まり、一家は毎日のように防空壕に潜る。そして、…

イランの少女から見た戦争、思想弾圧、戦火の日常 マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』1、2巻感想

あらすじ イランに生まれた少女マルジことマルジャン。革命がおこったイランは、不穏な空気に包まれていた。日常的に人がいなくなり、投獄され、拷問され……。マルジの自由な性格に危険を感じた両親は、マルジを国外に出す。

民主主義のありがたみがよくわかる 重村智計『金正日の正体』感想

長い間積んでてどうして入手したのかも忘れてた本です。 書籍概要 北朝鮮の国家主席金正日。彼はどのような人間で、何を考えているのか。そして、最近「金正日」らしくない命令が増えているのはなぜなのか。金正日という存在を通して、当時の北朝鮮を語る本。

何気ない日常の中に描かれる「被爆者である」悲しみ こうの史代『夕凪の街 桜の国』感想

『この世界の片隅に』が面白かったので原作者の本も読んでみたいなと手に取りました。 手に取って初めて意外と薄い本だと知りました。 あらすじ 原爆投下から10年経った広島。皆実は貧しいながらも穏やかな日常を生きていた。しかし原爆の記憶が、彼女の生…

昭和初期の少女たちのめくるめく手紙世界 北島郁・山田俊幸編『カワイイ! 少女お手紙道具のデザイン』感想

いい意味で思ったのとは違う本でした。刺激的だった。 書籍概要 メールやネットがない時代、昭和初期の女学生の手紙は活発にやりとりされていた。孫が保存していた手紙道具や本文を、本の形にして紹介。その知られざる文化とは……。

天才の生涯から発達障害を読み解く 岡南『天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』感想

『発達障害のいま』で紹介されていた参考資料です。 honkuimusi.hatenablog.com 書籍概要 発達障害の人々は、普通の人とはとは違う認知を持っている。建築家のガウディと作家ルイス・キャロルを例に挙げ、「認知の偏り」が生み出す才能について語っていく。…

コンピューターの原型を作り出した男の功績とは B・ジャック・コープランド『チューリング 情報時代のパイオニア』感想

『イミテーション・ゲーム』が好きだったので、一度チューリングの伝記を読んでみたかったのです。 書籍概要 ドイツ軍の暗号機、エニグマを解いたアラン・チューリング。彼はコンピューターの原型を作り、後世に多大な影響を与えた。暗号機の仕組みや、最初…

漂白された神話をはぎ取り真実の古代ギリシャに迫る 藤村シシン『古代ギリシャのリアル』感想

著者の藤村シシンさんはTwitterで「古代ギリシャの人」として有名。 その愉快な活動はTogetterにまとめられているので一読することをおすすめします。 twitter.com togetter.com 書籍概要 「白亜の神殿、青い海」そんなイメージがある古代ギリシャの文明。し…

コバルト文庫の歴史から少女小説の立ち位置を考える 嵯峨景子 『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』感想

TwitterのRTで回ってきて、「これ絶対好きだ!」と思いました。読んでみたらやっぱり好きだった。 書籍概要 少女小説の代名詞とも言うべきレーベル、コバルト文庫。本書ではコバルトの歴史をたどりながら、少女小説における表現の変遷を考えます。最近では刊…

自然音から聞こえる神の沈黙 『沈黙 サイレンス』感想

映画『沈黙-サイレンス-』予告 chinmoku.jp いやもうすごかった。 多分長く上映されないと思うので、少しでも気になる人は映画館に見に行ってください。あの音声も映像も映画館で見たほうが絶対楽しいと思います。 あらすじ 棄教したという噂の師、フェレ…

ロシアをさまよう漂流民たちに感情移入 井上靖『おろしや国酔夢譚』感想

読みたいと思っていたんですが、後回しになっていてやっと読めました! ロシアの殺し屋恐ろしや。 あらすじ 船旅のうちに遭難し、ロシア領の離島にたどり着いた伊勢出身の船乗りたち。彼らはロシアの街を転々としながら、帰国の方法を探ります。過酷な異国の…

彫刻や焼き物、モノでたどる古代ギリシャの歴史 「特別展 古代ギリシャ」行ってきたレポ

神戸市立博物館の「古代ギリシャ展」に行ってきました。 撮影OKな場所がほとんどなかったので、これしか写真がなくて申し訳ない。 www.greece2016-17.jp 今初めて見たけど、公式サイトコラムがあったりぬりえがあったりして気合が入ってますね。 展覧会概要 …

中世は暗黒ではなかった ジョセフ・ギース&フランシス・ギース『大聖堂・製鉄・水車』感想

空にそびえたつ大聖堂はロマンですね。 前に読んだ著者の本が面白かったので、これも読んでみました。 書籍概要 ローマ時代の技術が失われ、停滞の時代だと思われていた中世ヨーロッパ。しかし本当にそうなのでしょうか? 著者は今にもつながるテクノロジー…

幸せに生きることこそ戦いだ 『この世界の片隅に』感想

『この世界の片隅に』を見てきました。戦争映画だからか、来てる人の年齢層が高かったです。これからアニメ好きの人に限らず、戦争を知りたいと思っているいろんな世代の人に流行りそうですね。 語っていたらネタバレも含んでしまったのでご注意ください。 …

江戸末期の嫁姑バトル 宮尾登美子『天璋院篤姫 下』感想

『天璋院篤姫 下』を読みました。 歴史ものは読むのに時間がかかる……。でも心に残る本でした。 新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫) 作者: 宮尾登美子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2007/03/15 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 28回 この商品を含む…

将軍の正室となって国を動かせ 宮尾登美子『天璋院篤姫 上』感想

世界史は好きなんですが日本史には苦手意識があります。 そんな私が『天璋院篤姫』を読みました。あまり日本史はよくわかってないのでそういう人の感想としてお読みください。 新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫) 作者: 宮尾登美子 出版社/メーカー: 講談社…

イギリスを救った男の悲しい末路 『イミテーション・ゲーム 天才数学者とエニグマの秘密』再視聴感想

突然ですが、みなさんの泣いた作品ってなんですか。こういう書き出しのときはだいたい自分が書きたいものって法則があるんですけれど、私も案の定それです。そんなわけで、『イミテーション・ゲーム』を再視聴していました。ちょっとネタバレを含みますので…

インドにおける愛国的団体はなぜ浸透したのか 中島岳志『ヒンドゥー・ナショナリズム』感想

積読崩そうとして放置してた本を消化してます。『ヒンドゥー・ナショナリズム』もその一冊。 ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景 (中公新書ラクレ) 作者: 中島岳志 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2002/07 メディア: 新書 購入: 1人 クリッ…

エリザベスVS無敵艦隊 『エリザベス ゴールデンエイジ』感想

『エリザベス ゴールデンエイジ』を見ました。 映画 『エリザベス:ゴルデン・エイジ』 予告編 あらすじ 処女王、エリザベスのもとで統治されているイギリス。子どものいないエリザベスに変わり、メアリ・スチュワートを女王にしようという動きが出てきます…

映画を通して歴史に触れよう おすすめの史実を元にした映画5選

歴史映画が好きで、見かけるとレンタルしたり配信を視聴したりしています。今回は、その中で面白いものをまとめました。 創作の強いものもありますが、まとめて「歴史映画」としています。

ナチス・ドイツを転覆しようとした男 『ワルキューレ』感想

『ワルキューレ』を見ました。 ドイツ専攻だったのでドイツ関連の映画は結構見てますが、これは実は未見でした。早く見ておくんだったなあ。 ワルキューレ プレミアム・エディション [DVD] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2009/07/24 メディア: …

処女王エリザベスの恋と陰謀 『エリザベス』感想

『エリザベス』を見ました。 ずっとdtvになかったけど再配信されたようです。やったね。 エリザベス [DVD] 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル 発売日: 2012/06/20 メディア: DVD 購入: 1人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (9件) を見る あらす…

戦争に引き裂かれた祖国を愛した男 木村元彦『オシムの言葉 増補改訂版』感想

『オシムの言葉』を読みました。 バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)で絶賛されていたので気になって読みました。 オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫) 作者: 木村元彦 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/01/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ …

人がゴミのように死ぬ時代 『シンドラーのリスト』感想

『シンドラーのリスト』を見ました。ずっと見たかったんですけど機会がなくて(主にレンタルショップで出会えなかった)dtvで再配信されたのを「チャンス!」と思って見ました。 シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD] 出版社/メーカー: ジェネ…