ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

現代もの

足の不自由な少女を中心に「友情」を描いた連作短編 重松清『きみの友だち』感想

あらすじ 事故で足が不自由になった恵美。彼女は事故にかかわったクラスメイトを責めたことをきっかけに、クラスで孤立してしまう。恵美は同じくクラスで浮いている、由香と仲良くなるが……。ひとりの少女を中心とした連作短編集。

板前さんが水族館で職員として働く 末羽瑛『水族館の板前さん』感想

『Let it BEE!』が面白かったのでお礼課金です。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 働いていた料亭が閉まり、無職になった主人公、浩介は、水族館の臨時職員として働くことになる。水族館の仕事に少しずつやりがいを見出していく浩介だったが、仕事は波…

田舎に引っ越してきた主人公がいとこに心を開いていく 『ほしのの。』感想

play.google.com あらすじ 両親の死により、田舎のおじの家に身を寄せることになった主人公。そこではいとこの榛奈(はるな)がにぎやかに、優しく接してくれていた。おじ家族と一緒に暮らすうちに、主人公は心を開き始める。

古い台本の呪いで嬉しくないハーレム状態 来楽零『ロミオの災難』再読感想

好きだった本を読み返すシリーズ。初めて読んだのは大学生の時でした。 あらすじ 一年生五人だけの演劇部。文化祭の公演の相談をしていると、五人で演じられる『ロミオとジュリエット』の台本が落ちてきた。その台本を演じることにした五人だったが、なぜか…

あいまいな感情を言語化してくれる短編集 吉本ばなな『とかげ』再読感想

この方時期によってよしもとだったり吉本だったりするので、ブログの作家タグをどっちに合わせるか悩みます。 たぶん中学生くらいの頃に読んだけれど、内容をきれいさっぱり忘れてました。 あらすじ 鍼灸師をやっている女性「とかげ」にプロポーズした「私」…

ライトノベル作家がしゃべる猫とともにつらい執筆生活 石川博品『先生とそのお布団』感想

同人誌を加筆して長編に書き直したものだそうな。ガガガもそんな作品を出すようになったんですね。 あらすじ 売れないライトノベル作家、石川布団。人の言葉を理解する猫「先生」とともに、今日もひたすら小説を書く。打ち切り、出版、また打ち切りと、出口…

島に伝わる、どこかへ行ける呪文 雨宮諒『夏月の海に囁く呪文』感想

一巻完結ライトノベルのおすすめにあった作品です。 あらすじ 夢久島という島に暮らす修一。彼は何でも正直に言ってしまう劇作家に出会う。その島には、「海で唱えると自分の居場所に連れて行ってくれる」という呪文があった。島で暮らす人々と、そこに伝わ…

コミカルだけど硬派なフェンシング青春小説 末羽瑛『Let it BEE!』感想

一冊完結のライトノベルのおすすめに出ていた本です。このイラストの絵柄、好みです。 あらすじ 内気な少女、有星結恵は顧問の蜂谷巴に誘われ、廃部寸前のフェンシング部に入部。しかし彼女には、先端恐怖症という大きなハンデがあった。団体戦に出場するた…

車に二回もぶつけられてしまう山王連合会 『HIGH & LOW Season2』感想

今月中で配信が一旦終わってしまうので、急いで視聴。 あらすじ 五つのグループが支配するSWORD地区。SWORDが分裂する前は、MUGENというグループがそこを支配していた。バイク仲間から始まったMUGENは、家村会を追い返したことによって評判になり、グループ…

1巻と別物になってしまったがこれはこれであり 須賀しのぶ『夏は終わらない 雲は湧き、光あふれて』感想

なんでかAmazonに電子書籍がなくて、紙の本で買いました。1、2巻はあるのに……? あらすじ 無名だった三ツ木高校野球部は、甲子園に出るために猛練習を重ねる。急成長を続けていく上で、捕手の鈴江は、エース月谷の能力についていけずに悩む。はたして能力…

「どうやっても生きていける」という結論の優しさ 『逃げるは恥だが役に立つ』(ドラマ版)感想【少しネタバレ】

」 年末年始の再放送で見てました。でも録画しのがしたので何話かオンデマンドで買いました。 あらすじ 就職に失敗し派遣社員として働いていた女性、みくり。派遣切りに遭い無職になったところを、会社員の津崎平匡の家事代行として働くことになる。しかし両…

性的暴力を疑うことの難しさを感じる『ダウト あるカトリック学校で』感想

Amazonビデオのクーポンをもらったので借りてみました。 あらすじ 子どもたちが学ぶカトリック学校。その学校の校長であるシスターは、神父が子どもに手を出したのではないかと疑いを持つ。証拠がない状態で、「疑い(ダウト)」だけが膨らんでいく。真実は…

暴力をテーマにしつつ視聴者に親切なドラマ『HIGH&LOW Season1』感想

あらすじ 五つの暴力組織が支配するS.W.O.R.D地区。そのひとつ、山王連合会にチハルという少年がやってくる。彼がやってきたことによって、危うい均衡を保っていたS.W.O.R.D地区の関係が少しずつ狂い始める……。

哀しみを抱えた少年と少女が、新聞配達で繋がる 野村美月『陸と千星 世界を配る少年と別荘の少女』感想

『吸血鬼になったキミは永遠の恋をはじめる』が面白かったので、お礼課金。よかった、本当に良かった……。 あらすじ 両親の離婚の話し合いの間、田舎の家に預けられた千星。彼女はそこで新聞配達をしている少年、陸と出会う。朝の新聞配達のときに起こる小さ…

プロのスリとギャンブル狂いの占い師が出会った悪の少年 佐藤多佳子『神様がくれた指』感想

事前情報を調べていなかったので、表紙の占い師はてっきり女性だと思っていました。 あらすじ 刑務所から出たばかりのスリ、辻は電車で少年少女のスリ集団を目撃する。そのひとりを追いかけてけがをした辻は、昼間という占い師に助けられた。昼間と同居しな…

逃れがたい人種差別という呪いと、それでも残る希望 『クラッシュ』感想

dtvにあるおすすめ映画記事にあった作品です。 あらすじ 商店を経営しているイラン人、札付きのワルである黒人青年、テレビドラマの脚本家をしている男とその妻……などなど。ひとつの事故をきっかけに、それぞれの運命がリンクしていく群像劇。

「好きなこと」をやりとげることと少年少女の淡い恋 夜野せせり『渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない ひみつの片思い』感想

あらすじ 両親の再婚により、血のつながらないきょうだいができた千歌。そのひとりは、学校の人気者渚だった。最初は反目しあっていた二人だが、サッカーと漫画という好きなことを通して、少しずつ距離が縮まっていく。

自立した人が、ひとりでいることの楽しさを教えてくれる ドラマ『孤独のグルメ Season2』感想

なんだか疲れているのでdtvで見てました。ファーストシーズンを見たのはだいぶ前ですが、この変わらない感じが安心しますね。 あらすじ 個人で輸入商を営んでいる井之頭五郎。彼の趣味は食事をすること。関東のさまざまな場所へ仕事に赴き、その土地の飲食店…

児童シェルターで働くグレイスの成長を通して前向きになれる 『ショート・ターム』感想

映画を見ながらとうらぶのイベントを走るので、これから映画感想の更新が増えそうです。 あらすじ 家庭や自分自身に何らかの問題を抱える子どもたちを保護するシェルター「ショート・ターム」。そこで働くグレイスは、ボーイフレンドのメイソンの子どもを妊…

失ったものを心に抱いて生きていく切なさ 緑川ゆき『愛蔵版 蛍火の杜へ』感想

有名作品だけれど実は読んだことがなかった話です。愛蔵版を見かけたのでこの機会に手に取ってみました。 あらすじ 少女、蛍は、山で不思議な青年ギンと出会う。彼は人間に触れられると消えてしまう存在だった。夏が来るたびに、二人は山で一緒に遊ぶ。やが…

農場で暴力男に支配される同性愛者 『トム・アット・ザ・ファーム』感想

dtvに入会した友達におすすめされた映画です。身の回りに入会している人がいると映画探しがはかどりますね。 あらすじ トムは死んだ恋人のギヨームの故郷を訪ね、葬儀に出席する。そこでギヨームの兄に暴力で脅された。トムは同性愛者であることを秘密にし、…

空気が粘つくような暗い描写 田中慎弥『共喰い』感想

読みたいと思っていたけれどなかなか読めてなかった一冊です。 あらすじ 女性を殴る父親、そしてそれに似てきた息子を描く表題作、釣り好きの曾祖父の死を描いた「第三階層の魚」。二編を収録した一冊。

シュールなユーモアと絶望の合わせ技 パク・ミンギュ『カステラ』感想

あらすじ タヌキゲームにはまってしまったインターン先の社員、何でも入る冷蔵庫、宇宙人の襲撃を受けている農地……。ごく普通の日常にシュールな題材を交え、絶望とユーモアをもって人間を描き出す短編集。

噴火の街で男子高校生二人が友情を繰り広げる 真造圭伍『ぼくらのフンカ祭』感想

前々から読んでみたいなあと思いつつ今になってしまいました。お前はいつもそうだ。 あらすじ 高校生、富山と桜島の住む町で火山が大噴火する。温泉と火山という観光資源を得て変わっていく街に憤りを覚える富山。しかし軽い気持ちで口にした言葉から「フン…

しがらみにあふれたミュージシャンたちの恋愛模様 カズオ・イシグロ『夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』感想

あらすじ ベネチアで有名歌手と出会ったギター奏者、整形をするサックス奏者など、さまざまなミュージシャンや音楽好きを主人公とし、内容が少しずつつながりを持っている連作短編集。

日常の中の小さな悲しみを抱えて生きていく よしながふみ『愛すべき娘たち』感想

そういえば、よしながふみの現代ものって初めて読んだ気がします。BLは読んだことないんだな~。 あらすじ 大病から生還した母は、これをきっかけに結婚すると言い出した。その相手とは、娘よりも年下の俳優で……。一組の親子を中心に、それぞれの人間関係が…

ティーンの少女との共依存関係の行方とは 唐辺葉介『電気サーカス』感想

熱烈におすすめしている人がいて気になった本です。 あらすじ テキストサイト「電気サーカス」を運営している主人公水屋口。ネットの仲間と部屋をシェアし、フリーターとして暮らす。そんな中、水屋口は真赤(仮名)という中学生に出会う。

結論が月並みでも対話していくことは重要である 海野つなみ 『逃げるは恥だが役に立つ』全巻読んだ感想

あらすじ 大学院を出ても正社員として就職できなかったみくり。派遣切りに遭って求職中のみくりに、家事代行の仕事が舞い込んでくる。雇い主平匡(ひらまさ)と良好な関係を築いたみくりは、「就職としての結婚」を提案する。

野球をあきらめられない大人の群像劇 須賀しのぶ『ゲームセットにはまだ早い』感想

なんとなく須賀しのぶが読みたい!となり、入手してきた本です。表紙、よく見るとスーツで走ってるんですね。 あらすじ 所属していた会社の野球部が廃部になり、身の振り方を考えていた高階に、クラブチームから誘いが来る。最初は乗り気ではなかったが、三…

ダメ人間だけど一部の人間にとっては強烈な魅力のある男 又吉直樹『火花』感想

ブームは過ぎ去った気がしますが、入手したので読んでみました。表紙は何の絵なんでしょうか。テーブルクロス? ただのうねうね? あらすじ 若手漫才師である「僕」は同じ漫才師の神谷に惚れこみ、師弟関係になる。神谷は笑いに対する純粋さは人一倍あったが…