ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

漫画

『白い旗』水木しげる 講談社文庫 感想 戦争のさなかにいる人の悲しさと愚かしさと

あらすじ・概要 硫黄島で絶望的な戦いをする日本兵たち。武器も水も尽きたところで、彼らは生き延びるか玉砕するかという選択肢を突き付けられる。表題作ほか、水木しげるの貸本時代の戦記もの漫画をまとめた文庫。 人間の愚かさが悲しい 著者のリアル寄りの…

『鈴木みきの富士登山ご案内』鈴木みき コミックエッセイの森 イースト・プレス 感想

あらすじ・概要 著者は登山が趣味。登山の中でも独特の文化を持つ「富士登山」を登山者の視点から解説。富士登山の歴史や、登山コースの違い、登山において気をつけたいことを漫画で描く。日本を代表する山のことが好きになれるかも。担当編集者と富士登山に…

『葬儀屋さんになったわけ』はがあおい コミックエッセイの森 感想

あらすじ・概要 葬儀屋に就職した著者は、そこでさまざまな体験をする。遺族や喪主にどう寄り添うか、葬儀という儀式をどう滞りなく進行するか、僧侶や関係会社とのやりとりはどうするか……。仕事に向き合い、考えるうちに、人間としても成長していくコミック…

『なぜ親はうるさいのか――子と親は分かりあえる?』田房永子 ちくまQブックス 感想

あらすじ・概要 親との問題に悩み、親と絶縁するに至った著者が、思春期の子ども向けに親との関係を語る。嫌っていたはずの親に似てきてしまった葛藤や、「親もこう考えていたのではないか」という考察。生きる上での建前と本能、世間体と欲望の二律背反など…

『呪詛抜きダイエット』田房永子 大和書房 感想

あらすじ・概要 著者は慢性的に肥満であり、カロリーの高いものを過食するくせがあった。自分の外見にコンプレックスがあるのになぜ痩せられないのか。自分の心を掘り下げてみると、そこには矛盾と葛藤があった。ままならない自分の体と付き合い、少しでも楽…

「毒親・問題のある親」をテーマにしたコミックエッセイおすすめ15選 依存症・宗教・DV

「毒親」という言葉自体が批判されることもありますが、「アダルトチルドレン(AC)」は言葉に親の要素がないので「親のせいで心を病んだ子ども」ということが伝わりづらいです。そういう意味で生まれるべくして生まれた言葉だと思います。 『私がダメ母だっ…

令和に『ぼくの地球を守って(全12巻)』を読み返す

あらすじ・概要 高校生の亜梨子(ありす)は隣の小学生輪(りん)につきまとわれている。輪はある日亜梨子の目の前でベランダから落下、九死に一生を得る。責任を感じる亜梨子に、輪は婚約してほしいと要求する。同じころ、亜梨子は同じ夢を共有するクラスメ…

『魔女のやさしい葬列』黒釜ナオ RYU COMICS 全4巻 感想

あらすじ・概要 花売りのナンシーは、陰気な古物商ブレイロックと少女リラと出会う。彼らは、永遠の命を持つシスカを狩り、死による救済を与えようとしていた。リラを子どもとして好きになったナンシーは、リラに自分らしい自由な人生を歩んでほしいと望み、…

『だから死ぬ気で旅に出た』原作・片岡恭子 作画・小沢カオル

あらすじ・概要 原作者は、日本の学校生活になじめず、親ともうまくいっていなかった。そんな中、海外に出て新しい価値観を知る。旅にハマった原作者は、南米のあちこちを巡る。やがて旅行ライターや運び屋(合法)の仕事が入るようになる。旅でお金を稼ぐよ…

『つれづれ京都 もっと深い京都の旅』まえだなをこ KDP

あらすじ・概要 京都が好きになった著者は、京都で暮らし始めた。そこで知る京都の文化や、人間関係。もちろん和菓子に舌鼓を売ったり、路地裏のカフェで一休みすることも忘れない。京都のことがもっと知りたくなるコミックエッセイ。 ハイコンテクストな文…

『こうふく画報』長田佳奈 主任がゆく!スペシャル ぶんか社 感想

あらすじ・概要 大正時代の日本、人情味あふれる人々が生きている町。そこで食べ物と人間関係にまつわる物語が起こる。神経質すぎる菓子職人、不思議な仮面をかぶった古本屋、病気になった妻を看病するためにおかゆづくりに挑戦する夫など。読んでいてほっこ…

『旅のらくが記ヨーロッパ ピカソ美術館めぐり』まえだなをこ KDP 感想

あらすじ・概要 旅好きの著者、まえだなをこはヨーロッパに旅立つ。ゲストハウスや友人の家を転々として、ヨーロッパを横断していく。目的は、ピカソ関連の美術館を巡る人、旅先で出会った人々、おいしい食べ物を紹介しながら各地でピカソの絵を見る。 貧乏…

『父と家族をやめたい』あかり 本当にあった笑える話 ぶんか社 感想

あらすじ・概要 漫画家である著者の父親はめちゃくちゃな人間だった。父親が飲食店をやるということで呼び戻され、店員として働かされる著者と姉。給料もろくに出ない、むしろ父親から金を無心される日々に疲弊していく姉妹だった。 コミカルでつらい父と娘…

『靴ずれ戦線 ペレストロイカ』速水螺旋人 RYU COMICS 全2巻 感想

あらすじ・概要 第二次世界大戦、過酷な戦闘を極めたドイツとソビエト連邦との戦争。スラヴの魔女のワーシェンカとお目付け役のナージャは、戦争に協力するために戦場を行ったり来たりする。ワーシェンカとナージャの行くところには、次々と不思議なことが起…

『まちなか植物観察のススメ』鈴木純監修・カツヤマケイコ画 小学館 感想

あらすじ・概要 街中には実は様々な植物がある。公園に生えている木や、品種改良された花、道端に生えた草など。それらはどのようにして判別するのか。著者、カツヤマケイコが監修の鈴木純に、植物の見分け方を教わる学習コミックエッセイ。 植物の見分け方…

『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』山本あり 幻冬舎コミックス 感想

あらすじ・概要 著者は結婚三年目。ミニマリストの夫から「この食材早く使いなよ」と圧をかけられ、それを重荷に感じている。何かに入れたり、炒めたり、薫製にしたりと余り物を工夫して消費しながら、夫婦の関係を描くコミックエッセイ。 ニッチな話だけど…

女性主人公×現代もの漫画のおすすめ15選 家族・恋愛・創作活動・青春

今日の更新は、女性主人公×現代もののおすすめまとめです。 現代ものの作品は、ジャンル分け的におすすめする回数が少ないです。しかし漫然とおすすめすると数が多すぎて記事としては読みづらくなります。 したがってうちのブログの人気キーワードである「女…

『バタフライ・ストレージ』安堂維子里 RYU COMICS  全4巻 感想

あらすじ・概要 死んだ人が蝶になる世界。蝶に関する事件を扱う「死局」で働く主人公小野百士は、蝶を失って廃人になった双子の姉を元に戻す方法を探している。事件に対処し、死局のメンバーたちの過去を知るにつれて、百士は今の社会の闇に触れていくことと…

『メルヘン課長とノンケ後輩くん』ミナモトカズキ RYU COMICS 全4巻 感想

あらすじ・概要 ゲイであることをオープンにしている犬飼課長は、実はメルヘンな恋愛観の持ち主である。それを見抜いた後輩の高木は、課長に好意を持つ。後輩にアプローチを受ける課長だったが、ゲイであること、過去のこと、自尊心のことから素直になれない…

『世界を旅する母ちゃん 駒込で子育て』織田博子 KDP 感想

あらすじ・概要 旅行が趣味な著者は、駒込で子育てをしている。子どもについての悲喜こもごも、駒込での日常、住んでいるに関する思い。そして子どもが生死をさまよった話をコミックエッセイにまとめた。 著者個人が作品をまとめたものなのですが、だらだら…

『しんどい母から逃げる!! いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった』田房永子 小学館 感想

あらすじ・概要 過保護で過干渉な母親の元で育った著者は、両親への怒りの感情と向き合うことになる。自分が弱いからできなかったことは、実は親のせいかもしれない。「自分のせいではない」と考えることで、親への怒りを消化していくコミックエッセイ。 怒…

『モノがなくても、大丈夫!』麻生夕貴 ナンバーナイン 感想

あらすじ・概要 無駄なものばかり買って捨ててを繰り返していることに気づいた著者は、ものを最小限にして暮らすことにした。ものを捨てることで生まれる、思い出との別れの物語。捨てることで自分と向き合うコミックエッセイ。 捨てることで自分の過去を振…

『フラワー・オブ・ライフ』よしながふみ  感想

あらすじ・概要 白血病で入院していて一年遅れでクラスにやってきた春太郎。正直すぎる彼にクラスメイトは困惑するが、少しずつ仲良くなっていく。文化祭で盛り上がったり、漫画の投稿に夢中になったり、恋をするクラスメイトがいたり……青春ストーリー。 創…

『スソアソコのひとり古墳部』スソアキコ コミックエッセイの森 感想

あらすじ・概要 古代をテーマにした漫画から古墳に興味を持った著者は、趣味で古墳を回るように。群馬県の古墳や、古墳の聖地奈良県の古墳を巡る。そこで出会った古墳の姿、遺跡や埴輪たちをイラストと文章で解説する。 独特なテーマでのんびしりててよかっ…

『愛がなくても喰ってゆけます』よしながふみ 太田出版 感想

あらすじ・概要 漫画家のYながは食べることが大好き。おいしい店を探して外食しては、その時間を楽しんでいる。Yながの友人たちも加わって、素敵な食べ物とそれをめぐる人間関係が描かれる。 外食とともに描かれる友人関係が面白い Yながという漫画家が主人…

『田んぼはじめました』とびやあい コミックエッセイの森 感想

あらすじ・概要 食育に興味を持った著者は、自ら農業を実践するために稲作を学ぶ。長期滞在で稲作の一年間を体験するが、そこでは大変なことばかりで……。農業の大変さと、そこで生まれる楽しさを描いたコミックエッセイ。 農業って重労働だなあ 農業って重労…

狂気を感じる漫画おすすめ20選 世界観・執着・自己の同一性

今日のまとめは、 狂気を感じる小説のまとめが今でも安定したPVを稼いでいるので、その姉妹編として書きました。 異様な世界観 『有害無罪玩具』詩野うら 『かんかん橋をわたって』草野誼 『死んだ彼氏の脳味噌の話』Ququ 人間の執着 『砂糖菓子の弾丸は打ち…

『ヨーロッパたびごはん』ながらりょうこ コミックエッセイの森 感想

あらすじ・概要 ドイツ、ベルリン在住の著者夫婦は、ヨーロッパを旅しながらその土地のおいしいものを食べる。パンやお菓子、屋台グルメ、豪華な朝食など、食事からその国の文かが見えてくる。かわいくて美麗な食べ物エッセイ。 絵柄がかわいくてかっこいい …

『オルフェウスの窓』池田理代子 集英社文庫 全9巻 感想

あらすじ・概要 フォン・アーレンスマイヤ家の庶子であったユリウスは、母親の意向で男の子として育っていた。男の姿のまま男子校である音楽学校に通うが、そこで「オルフェウスの窓」から姿を見られてしまう。オルフェウスの窓から誰かを見たものは、その誰…

『ごきげんわんこの平休日』くにのいあいこ コミックエッセイの森 感想

あらすじ・概要 著者は実家で犬を飼っていた。ももという雑種犬は、大家族に囲まれ、田舎の自然を謳歌し、たくましく暮らしていた。著者もまた、ももの存在に支えられていた。ノスタルジックで愉快な動物コミックエッセイ。 犬ってかわいいという気持ちと昔…