一巻完結ライトノベルのおすすめにあった本です。
あらすじ
心に傷を抱えた人々が集まる《六面ダイス》。その中でも重い症状を持つチェリーを救うため、主人公ハツは奮闘する。六面ダイスの面々も巻き込み、事態はますます混乱していくが……。
恥ずかしいけれど懐かしい
あらすじに「こっ恥ずかしい話」と書いてあるけどまったくもってそうですね。正直なところ中二病の中学生が考えそうな作品です。
でもそれが逆に、この作品の個性になっていると思います。恥ずかしいものを恥ずかしいまま書いてしまうのも、場合によっては面白いのだなと気づかされました。
疾走する思春期の不安定な心情が、幻想的な描写やストーリー展開になっていくのは美しかったです。
うまく生きられない、世の中から疎外されているような気分を、物語に変換して書ききったのはよかったです。
むずがゆくなるような恥ずかしさと同時に、青春時代を思い出す懐かしさを感じる作品でした。
小説としてはまだ未熟
ただ、小説として未熟なところも結構ありました。
シリアスなシーンで長い説明が唐突に入るので、話の腰を折られた感じがして読みにくかったです。
それから、「明らかにちゃんと調べずに書いてるな」という専門用語の使い方の雑さ。フィクションだから別に間違っててもいいんですけれど、調べてないことが丸わかりなのは萎えてしまいますね。
この辺はデビュー作なので、もっとあとの作品ならもう少し上手くなっているかもしれません。機会があったら確認したいと思います。
欠点があったとしても、なんだか嫌いになれない、不思議な魅力を持った作品でした。
まとめ
小説としてはかなり荒いところもありますが、個性が強くてそこがよかったです。直球で恥ずかしいものを書いてのける能力は評価したいです。
熱心なファンがいるのも、なるほどなと思う作品でした。