あらすじ・概要
異星からやってきたタコピーは、人間の少女しずかちゃんと出会う。しかし彼女は自死をする運命にあった。タコピーは時間を巻き戻して、しずかちゃんを救うため奔走する。タコピーは、次第にしずかちゃんや周囲の問題を知っていく。
面白いけどテーマの部分に突っ込みどころが多い
面白かったですが、作中人物たちに与えられた救いには突っ込みどころがあるという感じでした。
リアリティのある毒親描写は面白かったです。
子どもは否応なく大人の問題に巻き込まれている、ということを描写するのがとても上手かったです。
子どもが自分のせいではない部分で傷つき、世界を呪い、また誰かに加害をしてしまう。共感を呼ぶのも納得がいく、生々しい描写でした。
無垢で無知なタコピーが、加害を伴う家族関係を理解できず、迷走するのもつらかったですね。
その一方で、後半この作品のメッセージがわかると共に、作品が持つ問題も明らかになってきます。
「おはなし」つまり対話が重要である、という展開をしておいて、タコピーの自己犠牲によってストーリーが完結するのはひどいのではないかと思います。対話で解決をするという価値観と、自己犠牲によって問題を解決することは真逆の思想です。
タコピーの原罪自体が、不思議な存在が過去を遡って万能なアイテムを使って助けてくれるというストーリーで、おおそらく「ドラえもん」のパロディです。
でも元ネタのドラえもんが自己犠牲してのび太を助ける結末になったらおかしいじゃないですか。ドラえもんは願いを叶えてくれる以前にのび太たちの友達であり相棒なんだから、そういう展開になるともはや友達とは呼べなくなってしまいます。
私はタコピーのことが結構好きだったので、タコピーにも救われてほしかったです。