あらすじ・概要
東日本大震災によって、被災者は多くのトラウマを受けた。そして、被災者だけではなく、医療従事者や自衛隊、被災者を助ける慈善団体、直接被害を受けなかった人たちも……。災害のトラウマを大きな枠組みで見直し、社会が災害のトラウマと付き合っていく方法を模索する。
災害はさまざまなトラウマを社会に発生させるんだなあ
被災者にとってのトラウマだけではなく、支援者、慈善団体の職員、被災者を見るよその地域の人など、包括的な視点で災害トラウマを語ろうとした本です。
本の中に登場する、トラウマはどれも苦しいものです。
大災害と言うショッキングなできごとに対して、社会は否応なく反応せずにはいられません。買い占めによって人間の弱さを知ってしまったり、支援者が被災者になじられてショックを受けてしまったり、被災者自身も幸せになることに罪悪感を覚えてしまったり……。
心は一様ではなく、だからこそ「頑張ろう」「復興を目指そう」という言葉に共感できなくなることもあります。もちろん復興は行わなければなりません。しかし、それに置いていかれてしまう人たちも多いです。
ポジティブになれない人たちを孤立させず、どう社会に受け入れていくか。人の違いを受け入れることは大事です。同じ考えになることは必ずしも幸せではないということなのでしょう。
興味深い本ではありましたが、比喩を持ち出してきたのが逆にわかりづらくなった気がします。造語が多くて読みづらいところが多々ありました。
なるべく造語を減らした方が、詳しくない人に読んでもらうのにしてはよかったのではないかと思います。