ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

メンタルヘルス

『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』田房永子 バンブーコミックス エッセイセレクション 感想

あらすじ・概要 夫にキレる衝動を抑えられない著者。ちょっとしたことで怒鳴り散らしてしまい、自己嫌悪に陥る日々だ。これではいけないとキレない方法を試しても、上手くいかない。そんな中、ゲシュタルトセラピーというものに出会い、著者の価値観は変わっ…

『凹凸あるかな?わたし、発達障害と生きてきました』細川貂々 平凡社 感想

あらすじ・概要 大人になってから発達障害に気づいた著者。彼女は自身の人生を振り返る。空気をうまく読めなかったこと、人の意見を真に受けすぎていたこと……著者の近くの発達障害の人々も紹介し、発達障害の人々の悩みを考える。 相手が言葉を真に受けるか…

『心を病んだ父、神さまを信じる母』ゆめの イースト・プレス 感想

あらすじ・概要 キリスト教徒の母と、気難しく扱いづらい父。やがて父は統合失調症を発症し、一家は父の妄想に悩まされることとなる。不穏で気まずい家庭の中、母は神の教えを支えに生活していた。 すっきり終わらないが印象的なエッセイ すっきり終わらない…

『心の傷を癒すということ』安克昌 角川ソフィア文庫 感想

あらすじ・概要 阪神大震災を経験した精神科医、安克昌。彼は阪神大震災とメンタルヘルスの問題について語る。災害直後の人々の精神状態から、精神疾患の人たちの病状悪化や苦悩、復興期に取り残される人たちのことなど、経験者ならではの視点で表現する。災…

『セックス依存症になりました』津島隆太 ヤングジャンプコミックス 感想

あらすじ・概要 恋人に暴行を受けたことをきっかけに、セックスのことしか考えられなくなった著者。精神科医によって、セックス依存症と診断される。依存症になったのは、虐待を受けていた過去と、恋人との恐ろしい共依存的快楽にあった。セックスがないと生…

『統合失調症』村井俊哉 岩波新書 感想

あらすじ・概要 精神疾患のひとつ、統合失調症。珍しくない病気でありながら、多くの人がこの病気を誤解している。まだ解明しきれていない統合失調症に関する仮説から、投薬治療、患者が社会に受け入れられるために医者ができることなど、一般の人にも役立つ…

双極性障害の人のためのYouTubeチャンネル「双極はたらくラボ」のおすすめ動画10選

双極はたらくラボとは? 当事者インタビュー 双極性障害の当事者が語る 会に参加した理由/参加前の不安/参加後に感じた良さ・しんどさ 【自傷行為が職場にバレて…】転職を重ね、看護師として私らしく働く 【激務で発症】新卒で1日20時間勤務を2年半/体重3…

『”隠れビッチ”やってました』あらいぴろよ 光文社 感想

あらすじ・概要 男性たちをもてあそび、振ることで歪んだ承認欲求を得ていた著者。一方で、絵での仕事がしたいと思いながらも、行動に移せない夢見る女性でもあった。著者が自分の内面に向き合い、自分と相手を大事にすることを学ぶと、人生が変わり始める …

『かんもくって何なの!? しゃべれない日々を抜け出た私』モリナガアメ 合同出版

あらすじ・概要 特定の場所で話せなくなる病、かんもくになってしまった著者。機能不全に陥る家族の中で、必死に暮らしていた。大人になって、話せるようになっても、かんもくであること、親にまともに愛されなかったことを引きずって生きていた。 機能不全…

『私はかんもくガール』らせんゆむ 合同出版 感想

あらすじ・概要 子どもの頃、ずっと黙っていた著者は、支配的な友人に振り回されたり、周囲のからかいの対象になったりする。思春期から青年期にかけてかんもくを脱出するが、今度はうつや不眠に悩まされる。かんもく女性の今までを描いたコミックエッセイ …

『私だけ年を取っているみたいだ ヤングケアラーの再生日記』水谷緑 文芸春秋

[ あらすじ・概要 統合失調症の母親を持つ少女は、家の家事や、病気の母のケアを引き受けている。非協力的な父親や、病気を理解しない母親に悩まされながら学校生活を送っていた。大人になり、家から出た彼女は、社会と自分とのギャップに驚く 親を憎み切れ…

高橋洋友『自殺予防』岩波新書 感想

あらすじ・概要 ニュースや週刊誌を騒がせる自殺だが、実際どのように自殺を防げばいいかはあまり語られていない。社会や政治の単位でやるべきことや、個人として自殺したがっている人とどう付き合うかまで、精神科医の視点で語る。自殺を望む人を治療に導き…

【パチンコにハマっていく東日本大震災の被災者たち】古川美穂『ギャンブル大国ニッポン』感想

あらすじ・概要 出口の見えない生活の中、パチンコにハマっていく東日本大震災の被災者たち。人は心が弱ったとき、依存症に陥りやすい。著者は日本のパチンコ政策への矛盾や、パチンコへ行くことの容易さの点を指摘する。ギャンブル依存症が多い国として、ギ…

【ブログ発、震災後の福島から逃げてきて心を病む男性】カトーコーキ『しんさいニート』感想

あらすじ・概要 東日本大震災と原発事故をきっかけに、東相馬の故郷を捨てて北海道へやってきた著者。美容学校に通って美容師になろうとするも、劣悪な労働環境でうつを発症してしまう。父親との関係、被災者である後ろめたさ、自己嫌悪に囚われ、働けなくな…

【お酒、ゲーム、ギャンブル。当事者が描く依存症啓発漫画】三森みさ『母のお酒をやめさせたい』

あらすじ・概要 ある日から、家族の様子がおかしくなった。暴力的になったり、罵倒をしたり。うそを繰り返して家族を裏切る。それはどうやら、依存症が原因らしい。ギャンブル依存、ゲーム依存、アルコール依存など、さまざまな依存症を取り上げ、家族や本人…

【Twitterのフォロワーや福祉支援員などのゆるいつながりで社会復帰をする】ズミクニ『統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません) 』

あらすじ・概要 あるときから、幻覚や妄想に囚われるようになった著者。ついに地元を遠く離れた場所で措置入院となり、閉鎖病棟で治療を受ける。やがて退院して社会に戻った著者は、ヘルパーとして働くも陰性症状に悩まされる。統合失調症の発症から、社会復…

【精神の病の診断を受けて迷走するが仕事に救われる】渡辺河童『うつでも介護士:崖っぷち人生、どん底からやり直してます。』

あらすじ・概要 自営業として働いていた著者は、ある日うつ病になる。何度か自殺未遂を繰り返したものの、訪問看護やヘルパーの人々に助けられる。自分も資格を取ってみようと、学校に通い始めるのだが……。 コミュニケーションを取ることによって自分を知る …

【災害を経験した子どもたちの心を守り育てる】冨永良喜『大災害と子どもの心 どう向き合い支えるか』

あらすじ・概要 3.11を始めとする、災害は子どもの心に何をもたらしたのか。被災地に心のケア要員として向かった人々の視点で、トラウマや親しい人の死の受容について考える。傷ついた子どもたちの具体的なケアの内容とは。 安易な気持ちでアンケートを取ら…

【限界を迎える前に支援する】田中俊英『「ひきこもり」から家族を考える 動き出すことに意味がある』

あらすじ・概要 家から出られない、働けない人々、ひきこもり。ひきこもりの家族を支援し、ひきこもる人を社会に繋げるには何ができるか。具体的な対策とともに、子どものひきこもりによって孤立する家族について考える。 トラウマを探るのが正解ではない ひ…

【ヨロコビやカナシミなどの感情たちを擬人化した頭の中】ディズニーアニメ『インサイド・ヘッド』

あらすじ・概要 11歳の少女、ライリーの中にはいろいろな感情がある。その感情のひとつであるヨロコビは、事故でで頭の中の司令部から遠く飛ばされてしまう。一緒に飛ばされたカナシミと一緒に、ライリーを幸せにするために司令部に戻ろうとするが……。 悲し…

【別れることも相手への愛情だと受け入れる】草柳和之『ドメスティック・バイオレンス 新版―男性加害者の暴力克服の試み』

あらすじ・概要 ドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)はごく一部の人の不幸ではなく、社会でありふれた問題である。加害男性に暴力をやめさせるには、何ができるのだろうか。暴力を嗜癖のひとつとして、メンタルヘルスの視点で加害への依存をやめる方…

父がアルコール依存症だった著者が依存症当事者や回復施設を取材する―菊池真理子『依存症ってなんですか?』

だっしゅ あらすじ・概要 アルコール依存症の父を持ち、苦労してきた著者。彼女はアルコール依存症や薬物依存症について調べることとなる。依存から脱却して酒を飲まない生活を続けているミュージシャンや、依存症の支援施設を取材するうちに、著者は改めて…

アルコールとメンタルヘルスから見る男性のジェンダー―松本俊彦『アルコールとうつ・自殺―「死のトライアングル」を防ぐために』

あらすじ・概要 女性よりも圧倒的に高い男性の自殺率。それにはアルコール依存症、もしくは依存症とは言えないまでも無軌道な飲酒行為が関係していた。アルコールとうつ、そして自殺の関連性を紐解きながら、アルコールと適度に付き合う重要性について語る。…

双極性障害同士の夫婦が躁うつの波とともに共同生活する―リョコモコ『躁うつ夫婦』

あらすじ・概要 それぞれ別に双極性障害を発症した著者と著者の夫は、インターネットで出会い、恋をし結婚に至る。ときに躁でハイテンションになり、ときにうつで家に閉じこもりながらも、夫婦で助け合って生きていた。精神疾患とともに生きる結婚生活をユー…

自死遺族の苦しみとこれからできる支援―杉山春『自死は、向き合える 遺族を支える、社会で紡ぐ』

、 あらすじ・概要 生きる苦しみによって自ら命を断ってしまう人がいる。自死の悲しみは、当事者だけではなく家族も襲う。自死遺族たちが受けた差別や社会への疎外感、また対策について述べる。自死する人を減らし、自死遺族たちを支援するために、社会は何…

発達障害の夫が壊れかけた家族を再構築する―遠藤光太『僕は死なない子育てをする 発達障害と家族の物語』

あらすじ・概要 大学を出てすぐに若くして結婚し、子どもをもうけた著者。しかし強いうつ症状に襲われ、復帰と休職を繰り返してしまう。家族がばらばらになりそうな中、著者は自分が発達障害であることを知った。発達障害の特性を考えながら、家族を再構築し…

ネガティブな漫画家が自分語りをしつつ楽な生き方を模索する―菊池真理子『生きやすい』

あらすじ・概要 漫画でルポルタージュを描くことを仕事にしている著者、菊池真理子。しかしその内面はネガティブで、漠然とした生きづらさに悩まされていた。過剰な繊細さ、人付き合いへの疲労、本音を言うことへの抵抗など、著者自身が自分のネガティブさを…

東京の「女性の貧困」を追う上で見えてきたもの―中村淳彦『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』

あらすじ・概要 かつてアダルトビデオや風俗のライターをしていた著者は、女性編集者と組んで東京に住む人々の貧困を取材する。風俗で働く女子大生、生活がままならないシングルマザー、障害年金で暮らす障害者など、困窮する女性たちは今何を語るのか。 正…

双極性障害の夫を支えるうちに妻がうつになってしまった―彩原ゆず『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』

あらすじ・概要 仕事のストレスでうつになってしまった夫、休息を経て少しずつよくなっていくが、しばらくして夫に異変が訪れる。浪費をし、常にいらだちものに当たるようになり、ついに著者にも手を上げるようになった。追い詰められた著者は、自分も自殺を…

双極性障害の母を支えた著者と家族の物語―まりげ『700日間の絶望トンネル』

あらすじ・概要 別居している母が自殺未遂をしたという報告を受け、著者は混乱する。どうやら母は双極性障害だということがわかり、入院治療ののち、著者の近くで暮らすこととなった。しかし母親の躁うつの波に振り回され、著者は苦悩する。