ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

美学の視点から見る視覚障害の人の世界のとらえ方―伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

あらすじ・概要 生物学の道を諦め、美学を志した著者は、障害を持つ人、特に視覚障害を持つ人の世界の認識に興味を抱く。「見える」ことが前提の社会で、「見えない」人たちはどのようにして周りの状況をとらえているのか。 「違いを面白がる」という可能性 …

ジャック・オ・蘭たんの「ツイステッドワンダーランド」実況を見たメモ

「ツイステの内容は気になるんだけどゲームをやっている時間がないんだよな……」と言うと、友人にジャック・オ・蘭たんさんの実況動画を勧められました。 それを見た感想と記録です。 まず『ツイステッドワンダーランド』というゲームがどういうものか説明し…

平凡な召使いが魔法使いの教育を受けて王様になる―『王様の剣』

あらすじ・概要 ワートことアーサーは、養い親の息子の召使いとして暮らしていた。ある日ワートはマーリンという魔法使いと出会う。未来を見たことがあるというマーリンは、ワートに現代的な学問を教え、暴力ではなく知恵で困難を乗り切る方法を教えようとす…

鬼の歴史と女性やマイノリティと鬼との関係―小山聡子『鬼と日本人の歴史』

あらすじ・概要 日本人に怖れられ、またユーモラスに描かれてきた「鬼」。その存在はどうやって確立し、文化の中でどう扱われてきたのか。中国から入ってきた鬼の概念から、節分の成立、鬼とマイノリティの関係など、鬼と日本人の歴史について語る本。 女性…

倫理のない世界で妄執的な作画の良さが光る―『ふしぎの国のアリス』

あらすじ・概要 少女、アリスはある日時計を持って走る白うさぎを目撃し、その後を追う。穴に落ちてたどり着いた先は、おかしな動物や人間だらけの世界だった。体が大きくなったり小さくなったりし、マッドハッターのお茶会に参加し、たどり着いた場所はハー…

死にかけの女性にガチ恋する主人公が世界を救う―橘公司『王様のプロポーズ 極彩の魔女』

あらすじ・概要 瀕死状態の女性に一目惚れした少年、無色。無色はその最強の魔術師女性彩禍と融合してしまった。彩禍を守るため、魔術師の学校に入学することを受け入れた無色は、最強の能力に戸惑いながらも彩禍として生活する。 リアリティはないが作品の…

嘘つきな偽霊感少女が幽霊と一緒に除霊―『さびしがりゴースト』

novelgame.jp あらすじ・概要 主人公、うららはクラスメイトに霊感があるふりをし、周りの気を引いていた。そんな折、うららは幽霊の恋(こい)に出会う。恋に除霊を手伝わせることで、うららは本物の霊感少女のように振る舞う。しかしうららの前に本物の霊…

図書委員男子ふたりの謎解きと繊細な友情―米澤穂信『本と鍵の季節』

あらすじ・概要 「僕」こと堀川と松倉は、図書委員の高校生。堀川は、松倉と一緒に学校や町で起こる小さな謎を解いていくこととなる。開かずの金庫の鍵を開け、自殺した学生が読んでいた本を探すなどするうちに、堀川は松倉の態度に違和感を持つ。やがて松倉…

結城紬について知るPR漫画―細川貂々『てんてんと歩くキモノみち 紬からはじめました』

あらすじ・概要 着物にあこがれながらも、その難しさに挫折していた著者。そんな中、結城紬の関係者に漫画の依頼を受ける。結城紬の肯定や特徴について学び、ついには結城紬を着ることに。結城紬に関わる人たちの悩み、そして結城紬を後世に伝えようとする活…

自死遺族の苦しみとこれからできる支援―杉山春『自死は、向き合える 遺族を支える、社会で紡ぐ』

、 あらすじ・概要 生きる苦しみによって自ら命を断ってしまう人がいる。自死の悲しみは、当事者だけではなく家族も襲う。自死遺族たちが受けた差別や社会への疎外感、また対策について述べる。自死する人を減らし、自死遺族たちを支援するために、社会は何…

発達障害の夫が壊れかけた家族を再構築する―遠藤光太『僕は死なない子育てをする 発達障害と家族の物語』

あらすじ・概要 大学を出てすぐに若くして結婚し、子どもをもうけた著者。しかし強いうつ症状に襲われ、復帰と休職を繰り返してしまう。家族がばらばらになりそうな中、著者は自分が発達障害であることを知った。発達障害の特性を考えながら、家族を再構築し…

食品アレルギーの子どもを育てる上での悲喜こもごも―カラスヤサトシ『0歳からのアレルギー戦記~牛乳・卵・小麦がダメ!』

あらすじ・概要 結婚して子どもをもうけた著者。しかしその子どもには食品アレルギーがあった。アレルゲンを含む食品を避けたり、気軽に他人と食事できなかったり、アレルギーの子どもと暮らすことは大変なことも多く……。 食品アレルギーの子どもと暮らす人…

介護殺人の恐ろしさと、防ぐために世の中は何ができるか―毎日新聞大阪社会部取材班『介護殺人 追い詰められた家族の告白』 

あらすじ・概要 社会問題になっている介護のこと、そして思いつめた結果介護していた相手を殺害してしまう人がいる。毎日新聞大阪社会部取材班は、介護殺人をしてしまった人々に取材を申し込んだ。重たい口を開いた彼らが語るのは、壮絶な介護の実態だった。…

大阪環状線に謎のおばけが現れるオカルトSF―白井弓子『大阪環状結界都市』

あらすじ・概要 大阪で警察官として働いていた森かなたは、大阪環状線を監視し守るOシステムで「何か」を見てしまう。その「何か」は「みぎわもん」と呼ばれる大阪に現れる超常のものだった。かなたはみぎわもんをめぐる戦いに巻き込まれていくが、それには…

トンチキとリアルが交差する京都ファンタジー―森見登見彦『夜は短し歩けよ乙女』

あらすじ・概要 とある乙女に一目ぼれした「私」。「私」は乙女の視界に入ろうと彼女を追いかける。一方乙女も、夜を歩くうちに京都で起こる不思議なできごとに巻き込まれ、その中で大活躍する。 小説でないと生まれえないシーンがある 基本的にリアリティの…

科学者だって間違うしその場の雰囲気に流される―藤野豊『強制不妊と優生保護法 "公益"に奪われたいのち』

あらすじ・概要 障害者やハンセン病の人々に不妊手術を施した悪法、優生保護法。その法律はどのように作られ、どのような歴史をたどったのか。優生保護法の現在までを振り返りながら、優生主義の恐ろしさ、愚かさを伝える本。 科学者だって過ちを犯す 薄い本…

コンビニ夜勤をする吸血鬼が女子高生の問題を解決―和ヶ原聡司『ドラキュラやきん!』

あらすじ・概要 吸血鬼の虎木は、コンビニ夜勤をしながら人間世界で生活していた。そんな虎木の家にシスターが転がり込んでくる。彼女、アイリスは人ではない存在「ファントム」を狩る存在だった。そんな中、コンビニ店長の娘が怪しげなライブハウスに通って…

【子どもの成長を見守る】子育てをテーマにしたコミックエッセイおすすめ27選

ChatGTPに提案されたまとめ記事を書いてみようシリーズ、今回は子育てをテーマにしたコミックエッセイおすすめまとめです。 私が福祉や障害のある子どもの生活に興味があるので、そういうコミックエッセイが多くなっています。 職場復帰後奔走する女性と、働…

政治学者が学問的正論が通用しない「PTA」の世界で気づいたこと―岡田憲治『政治学者、PTA会長になる』

あらすじ・概要 政治学者・岡田憲治は他人からの強い推薦によってPTA会長になるが、そこは非効率、非論理的な活動に満ち溢れていた。会長としてPTAのスリム化を目指すが、そんな著者に反発する人も多く……。保護者による「自治」の中で、人間同士の政治を考え…

「政治をやる障害者」が語る戦略的にマイノリティ向け制度を作る方法―伊藤芳浩『マイノリティ・マーケティング――少数者が社会を変える』

あらすじ・概要 聴覚障害者として、NPO「インフォメーションギャップバスター」で活動してきた著者。この団体は聴覚障害者向けの電話リレーサービスや東京オリンピック開閉会式におけるテレビ放送の手話通訳の導入を実現させてきた。300人に1人の聴覚障害者…

職場復帰後奔走する女性と、働く母親への差別―あい『いけいけどんどん!ワーママ奮闘記』

あらすじ・概要 育児休暇の後、会社に復帰することになった著者、子どもと長く過ごせなくなることを悲しく思いながらも、好きなデザインの仕事を必死で頑張る。ときに夫といさかいながらも、何とか仕事を続ける一方、職場からは収入の当てにしていた手当をな…

サロメ嬢のダンガンロンパ実況を完走したメモ

元々はあまりゲーム実況を見なかったのですが、最近は心境の変化があって見るようになりました。 ゲーム実況はおそらく自分ではクリアできない、あるいは自分からやらないような作品のものしか見ません。自分でやるならなるべくネタバレなしでやりたいからで…

小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』

あらすじ・概要 漫画家・イラストレーターの細川貂々と専業主夫のツレの間に生まれた息子、ちーと君。小学6年生になった彼は突然中学受験をしたいと言い出す。戸惑いながらも、夫妻は息子の受験勉強を応援するために奔走する。 本人がやりたいことをどう応…

もっと童話要素の強いまま突っ走ってくれればよかったのに―三方行成『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』

あらすじ・概要 遠い未来、人間が人格をデジタル世界にコピーしたり複製したりが可能になった。「トランスヒューマン」と呼ばれるようになった人類は電脳世界と現実世界の両方で新しい人生を謳歌する。そんな中に、姫君や翁がいて……SF世界で童話パロディをす…

古代日本の世界で少数民族の少女と大王の血を引く男が出会う―円堂豆子『雲神様の箱』

あらすじ・概要 双子の姉の罪をかぶって土雲の一族を追い出され、雄日子という男に仕えることになったセイレン。セイレンは固定観念に囚われない雄日子の人格に惹かれていく。一方で、大王の政治に不満を持った人々によって、政治の世界は不穏さを増していた…

清少納言から中宮定子への熱烈な主従愛―冲方丁『はなとゆめ』

あらすじ・概要 宮中に出仕することになった清少納言は、そこで中宮定子の聡明さ、優雅さに惹かれる。中宮定子や貴人たちとの交流に、頭のいい清少納言は機転を利かせて雅に答え、それを評価される。しかし次第に、藤原道長の権力が、中宮定子にまつわる人々…