ブックワームのひとりごと

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展開が面白くてぐいぐい読める因習もの―今村彩『蛇神』感想

蛇神 「蛇神」シリーズ (角川ホラー文庫)

 

あらすじ

蕎麦屋の妻だった日登美は、夫と息子、舅を惨殺される。従弟の聖二に請われ、彼女は母の故郷である日ノ本村に向かった。そこは、日女(ひめ)という巫女が中心になった信仰が守られている社会だった。

 

 ぐいぐい読める「因習もの」

展開が面白くて、ぐいぐい読めます。神の本では410ページと、結構長い作品なんですが、あまり長く感じませんでした。

古い村で行われる謎の因習、失踪や殺人、その背景にあるものとは……。と、べたな内容なんですが、その「べたな内容」をきっちり書きこなして面白いものに作り上げるところはすごいです。べただけど、月並みではないんですよね。

多少設定にチープなところもあるんですが、そのチープさが癖になります。

 

キャラクターも、設定に癖はありつつ「動かされている」感がなく、それぞれひとりひとり意思を持った存在として書かれていて面白かったです。

特に日登美を迎えに来た従弟、聖二の異様な執着や、常軌を逸した価値観は良かったです。倫理観がおかしいイケメンは好きです。

日ノ本村の日女(ひめ)であり、日登美に助言する立ち位置である燿子も好きです。彼女の立ち位置は微妙なものなんだと思いますが、それでも何かを伝えずにはいられない葛藤が垣間見えました。ある意味かわいそうな人なんですよね。

 

終わり方は続きを前提とした感じでしたが、この巻にある伏線は回収されたので、これはこれでありかなあと思います。

 

まとめ

面白かったです。シリーズの続きもあるみたいなので、少しずつ読んでいきたいです。

 因習とか、言い伝えとか、おかしな儀式とか、そういうものが大好きな人にはおすすめしたい一冊です。