読書生活をしてると「内容は何となく知っているけどそういえば読んだことなかった本」というのがあって、これもその本の一つでした。『夜のピクニック』。
あらすじ
貴子の通っている学校には「歩行祭」という奇妙な行事があります。それは全校生徒で80キロの道のりを夜通し歩くというもの。貴子はある賭けをします。歩行祭のうちにある人物に声をかけること……。
ひたすら歩くだけの青春ストーリー
メインは甲田貴子と、その異母兄弟(わりと最初のほうで判明するのでネタバレではないと思う)西脇融の微妙な関係を描いたものです。実際同じクラスにこういう相手がいたら困るだろうなあと思います。
しかし内容はひたすら歩いているというのがこの作品の面白いところだなあと感じました。普通、青春を書こうと思ったら遊びに行かせたり、勉強させたりいろいろさせたくなりそうですが、『夜のピクニック』は歩いているシーンしか出てきません。ほかのシーンがあったとしても回想です。
伏線もどんでん返しもない恐ろしくシンプルな筋書きなのに、ちゃんと人物の性格やそれぞれの事情が描かれているのが個性的ですし、そこが評価されたのだろうなあと思いました。
一日だけのイベントだからこそ、はかなくかけがえのない雰囲気が出るのでしょうね。
まとめ
評価されているものはちゃんと面白いなあと思った本でした。
しかし読んでいるだけで疲れそうな作品でもありますね……。
映画向きな作品だなあと思ったら案の定映画化されてました。せっかくなので貼っておきます。