好きだった本を読み返すシリーズ。でも完全版は読んだことがありませんでした。
あらすじ
体の一部が謎の物質に置き換わる奇病が蔓延する世界。患部をつぎはぎにした人形は、自我に目覚めた。ビスケという名を得た怪物は、徐々に荒廃していく世界をさまよう。生まれてきた目的を求めて――。
生きる目的を求める怪物
タイトル通り、メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』がオマージュ元になっています。
創造主に愛されず、世界をさまようところ、「なぜ生まれてきたのか」を思い悩むところ、そして「人間性」を獲得するところは、もともとの『フランケンシュタイン』を踏襲していて面白かったです。
ストーリーとしては別物なんですが、『フランケンシュタイン』を読み込んで作ってくれたのだなとわかるようになっています。
『フランケンシュタイン』がとても好きな人間としては、そこがとても嬉しかったです。
人類滅亡に進む世界
終末SF要素も、混沌とした雰囲気に合っていてよかったです。
設定が結構いいかげんなところもあるけれど、逆にそこも、「つぎはぎの怪物」というテーマに沿っている気がします。
つぎはぎの物語を生きるつぎはぎの怪物、という解釈で読むと味わいがあります。
完全版に追加された「つめあと神経質」はとてもSFっぽくてよかったです。幻想的で、空想的、それでもどこか悲しかったです。
描かれた世界の真実が書かれたとき、思わず膝を打ちたくなりました。
荒唐無稽な物語の中に、ゆるぎない優しさがあって私は好きです。
まとめ
やっぱりふたたび読んでも面白かったです。日日日の小説では一番好きです。
いつ読んでも、ビスケはきれいでかっこいいですね。
ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉 (講談社BOX)
- 作者: 日日日,Toi8
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/09/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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