こちらの記事で、おすすめの児童文学に挙げられてたので気になった一冊です。
あらすじ
運動会で無理やりリレーの選手に選ばれてしまった桃子。他のメンバーたちは練習に乗り気ではありません。そんなとき、いつも相談に乗ってくれる用務員の仙さんが病気で倒れてしまいます。はたして仙さんの言った「流れ星」とはどこにあるのでしょうか。
文章の難易度は易しめ
高学年の読み物としては易しいかもしれません。本を読みなれていない子にはちょうどいいですが、読書家の小学生には簡単すぎるような。
物語の流れもシンプル。その中で、きちんと人間関係を描いているのがよかったです。短い物語でありながら、キャラクターの役割が生きています。
特に西川さんの行動はよかったです。あれが物語の要になっていました。苦手だなと思っていた人が、予想もしないかっこよさを見せたときはすごくわくわくしますね。物語の醍醐味です。
特別なことは書いていないけれど、生き生きとした子どもの描写だけで話は面白くなるのだと再確認しました。
死者の記憶が学校の子どもを支えている
用務員の仙さんには悲しい過去があります。けれど物語の中で、悲しいだけで終わらないところがよかったです。
悲しい物語に浸るのではなく、悲しさを糧にして人にやさしくできる仙さんは、なるほど子どもたちの味方でした。大人になった今、仙さんのような大人になれるだろうかと考えてしまいます。
死者は戻ってこないけれど、死者の記憶が仙さんを支え、巡り巡って学校の子どもたちを支えているという構図が、とても美しいと感じました。
きっと桃子が仙さんにふたたび会うことはないだろうけど、桃子にとっても大切な記憶になるでしょう。
まとめ
シンプルだけれど、キャラクターが魅力的で面白い作品でした。児童文学はストーリーは単純でも、はっとするような展開があるからときどき読みたくなります。
また機会があったら児童書も読んでいきたいですね。