ブックワームのひとりごと

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医療業界におけるナチュラルな男女差別―水谷緑『まどか26歳、研修医やってます!』感想

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まどか26歳、研修医やってます! 女の子のお仕事応援コミックエッセイ (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

今日の更新は水谷緑『まどか26歳、研修医やってます!』です。

狙ったわけではないですが、タイムリーな漫画でした。

 

あらすじ

外科で働いている研修医のまどか。医療現場という男社会で働いていくのは、苦労がいっぱい。でも、うれしいこともある。女性研修医がどのように働いているかを描いたコミックエッセイ。

 

男社会で働くということ

別にそのために手に取ったわけではないんですが、東京医科大学の入学差別のニュースを見てからだと示唆に富んだコミックエッセイでした。

まず医療現場でのナチュラルな男女差別がひどい。私がまどかだったらやってらんねえと思うだろうな……。

そして女性医師が結婚しにくい医療現場のシステムも大変です。結婚する暇ないじゃん……。

 

「医者は家庭を捨てて当たり前」になってしまっていて、だからこそ「男性の方が医者に向いている」になってしまいます。(本当は、男性だってほいほい家庭を捨てるべきではないんですけど)

 

主人公、まどかはプレゼンで話す内容の記憶を飛ばし、男性医師からヤジを受け、「体力ないからなー 女子は」と言われてしまいます。

そこで先輩の女性医師から言われた一言はこれ。

「今日のプレゼンさ まあ忘れちゃったのはよくないんだけどさ

男の先生たちってああやって威圧的に来るけど 負けちゃだめよ」

(P79)

気苦労ばかりが目立ってしまうコミックエッセイでしたが、このシーンには読者としても救われました。

こういうことを言ってくれる人がいれば、理不尽の中でもなんとかキレずにやっていけそうです。

 

医療のためとはいえ男性にべたべた触られるのは気恥ずかしいし、女性医師の需要というのはかなりあります。それなのに女性にとって働きにくいシステムになっていることは問題です。

医療を受ける側ができることは、「医者は身を削って働いて当たり前」という認識を捨てることと、世の中に漠然とある固定観念を崩していくことだろうなと思います。

 

まとめ

なかなかタイムリーな内容でよかったです。医療の世界での男女差別とは……? と思ったときには読んでみてほしいです。

 能力のある女性が、バリバリ働いて出世できる業界になればいいなと思います。