ブックワームのひとりごと

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預言によって権力に狂う一人の男―シェイクスピア『マクベス』(光文社古典新訳文庫)感想

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マクベス (光文社古典新訳文庫)

今日の更新は、シェイクスピアマクベス』です。

昔一度読んだんですけど、内容をほとんど思い出せなかったので再読してみました。

 

あらすじ

三人の魔女に「王位につく」と予言されたマクベス。権力に目がくらんだ彼は、汚れた手段に手を染めていく。王位を手に入れた彼だったが、徐々に破滅の足音が聞こえてきていた。

 

どちらかといえば大人しいほうだったマクベスが、予言をきっかけに権力に憑りつかれ、人が変わっていくのが怖かったです。

悪事に積極的だったマクベスの妻も、やがては夢遊病になり、精神的に参ってしまいます。あれだけいけいけどんどんだった人が、別人みたいになってしまったのがショックでした。

だからこそ、マルカム王子が「王位に就くのが恐ろしい」と言うシーンが、心に残りました。権力が怖いと思うほうが、まともな神経を保ち続けることができるのかもしれません。

現実世界でも、去年は権力に憑りつかれた人のニュースが多かったです。ボクシング協会会長とか、トランプ政権とか。そういう意味で、とてもタイムリーな本でした。

権力を手にしながら、狂わずにいられる人っていうのはやっぱり貴重なんでしょうね。

 

あとシェイクスピアはやっぱりせりふ回しがかっこいいですね。中二病心を刺激されます。それだけでも読む価値があるくらいです。

天の星々よ、光を消せ。おれのこの胸の奥底にわだかまる黒い野望に、光を当てるな。

(282)

 消えろ、消えろ、短いロウソク。人生はただ、うろつき回る影法師、あわれな役者。出番の間は舞台の上で大見得を切り、がなり立てても、芝居が終われば、もうなんの音も聞こえぬ。

 (1826)

 こういう会話がぽんぽん出てくるので、読んでいるだけで面白いです。

このせりふの軽妙さ、それでいて比喩の豊かなところが、シェイクスピアが読み継がれる理由なのだろうなと思います。

 

まとめ

久しぶりに読むと面白かったです。

やっぱりシェイクスピアってすごいなあ。機会があったら他の作品も読み返してみたいです。

マクベス (光文社古典新訳文庫)

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マクベス (岩波文庫)

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