ブックワームのひとりごと

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迷宮世界で女同士のバディが探検する―たかみち『百万畳ラビリンス』

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百万畳ラビリンス(上) (ヤングキングコミックス)

今日の更新は、たかみち『百万畳ラビリンス』(上下巻)です。

 

あらすじ・概要

人と関わるのが苦手でゲームばかりしていた礼香は、友人の庸子とともに不思議な世界に迷い込んでしまう。いくつもの部屋が連なり、謎の法則でできている世界を、礼香は持ち前の行動力と洞察力で攻略していく。どうやらこの世界には、人類の命運がかかわっているようで……。

 

同性バディものとして最高!

最高の同性バディものでした。天才的なゲームのセンスを持ちながら、社会に溶け込めず生きづらさを抱えている礼香と、向こう見ずな礼香を心配し寄り添おうとする庸子。このふたりがタッグを組んで不思議な世界を攻略していくのが熱いです。

礼香はこの迷宮世界の攻略、庸子は自分の恋人や日常と、それぞれ相手とは別の大切なものを持っているところも「友情もの」として素晴らしいです。女ふたりの物語でありながら、関係が閉じていきません。

 

私はゲームはそれほどやらないのですが、読み進めるほどに混沌としていた迷宮のルールがわかってきて、主人公たちが自在に動けるようになるのが面白かったです。

礼香がめちゃくちゃ頭のいいキャラなので、攻略がさくさく進み読んでいて退屈しません。上下巻とは思えないくらい中身が濃い作品です。

 

(ここからネタバレ)

 

いやあ、この作品で最高なのは何よりもラストなんですよね。

礼香は裏技に次ぐ裏技を使ってこの世界を攻略し、迷宮を自分のものとします。普通の世界には帰らず、迷宮で遊び倒して暮らすことになります。

「ふたりの関係」としては庸子とは離れ離れになる悲しいエンドなんですが、「社会に溶け込めない人間」にとってはこの上ないハッピーエンドなんですよね。

普通の世界で生きていけないなら別の世界で生きていけばいい、何なら世界を作り替えたってかまわない。SFだからこそできる発想の転換が明るくかっこよかったです。

 

そして永久の別れを経験したとしても、礼香と庸子はお互い特別なのだということが描写からわかります。このふたりの関係は悲しいだけではなかったのだとほっとしました。

百万畳ラビリンス(上) (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス(上) (ヤングキングコミックス)

  • 作者:たかみち
  • 発売日: 2015/11/11
  • メディア: Kindle版
 
百万畳ラビリンス(下) (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス(下) (ヤングキングコミックス)

  • 作者:たかみち
  • 発売日: 2015/11/11
  • メディア: Kindle版