あらすじ・概要
類まれな身体能力を持つ少年虎杖(いたどり)は、呪術師と呪霊の戦闘に巻き込まれ、宿儺の指と呼ばれる呪物を飲みこんでしまう。本来なら「器」として処分されるはずだったが、特例として生かされ、呪術高専で呪術師になるための勉強をすることになる。虎杖たちは仲間とともに、呪術師として成長していく。
描かれているモラルやジェンダー観が面白かった
原作は未読。
「呪霊は人の悪意から生まれたもの」という設定からドロドロした話を想像していたんですが、思った以上に前向きで人の善性を信じる作風でした。
いやドロドロしてるシーンもあるし、助けられない人もいっぱい出てくるんですけど、そのことが「人が人を助けることを諦める理由にならない」んですよね。
味方キャラみんな「そりゃ助けられる選択肢があれば助けるでしょ」という前提があるからあまりドロドロした感じがしないんですよね。
バトルものなんだけど価値観自体はレスキューものみたいな雰囲気があります。
あとすごく女性の描き方が今どきで、釘崎野薔薇を始めとして「強い女」がたくさん出てくるんですが、描き方がサラっとしていて嫌味がないんですよね。
(古典的な意味での)女性らしいシーンも、女性らしくないシーンも、とてもフラットであっさりした描き方をしています。これ当事者である女性自身でもなかなかやれる人いないんですよね。育ってきた環境もあるし、その人自身の好き嫌いもある。
それでいて、禪院真依みたいな「どうあがいても強くも気高くも生きられない女の子」を出してくるのがすごい。「女は強くあれ」というのもひとつの呪いだと知っている話です。
価値観や倫理観の話ばかりしてしまったけど、少年漫画としてもちゃんと面白かったです。特別飛びぬけた描写はないんですけど、堅実に面白い。少年漫画って景気のいいバトルと魅力的なキャラクターがあれば楽しいと言うことを思い出しました。
ただオマージュがやたらと多いところは、いつか怒られんかなと心配にはなります。とりあえずHUNTER×HUNTERがすごく好きということはわかりました。
堅実に面白かったし、描かれるモラルやジェンダー観には考えさせられるものがあったので、見てよかったです。おすすめ。