ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

混迷の時代だからこそ、人類の未来を信じるジュブナイルSF―『地球外少年少女』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

地球外少年少女 前編「地球外からの使者」劇場公開限定版 Blu-ray

 

あらすじ・概要

日本の宇宙ステーション「あんしん」に三人の子どもたちがやってきた。それを出迎えたのは登矢という少年。彼は月面で生まれた子どもだった。彗星の衝突により「あんしん」は破損し通信手段も断たれ、残された子どもたちは生き残りをかけてステーション内を探索していく。

 

少年少女のために未来に希望を

「この作品を少年少女に見てもらってわくわくしてもらいたい! 元気づけたい! 未来に希望を持ってもらいたい!」という気持ちに溢れていて、Netflixと映画館(上映終了)でしか見れらないのは残念だと思います。夏休みに地上波放送してくれればいいのに。

青春ものというより「ジュブナイル」と呼ぶのにふさわしい作品です。

 

この作品の舞台はAIが広く普及しており、さまざまな分野でAIが使われています。一方で、かつてセブンというAIが暴走によって大きな事故を起こし、「AIが賢くなりすぎるのは危険」という価値観もあります。

成長に制限をかけるのはいいことなのか? ということがこの作品のテーマらしく、様々な側面からそれが描かれます。AIの成長はもちろん、子どもたちの内面や肉体、そして人類の歴史。

あんしんでの生き残りをかけた冒険を経て、登場人物たちは「ゆりかごから飛び出そう」とします。

 

結末は楽天的すぎるくらい明るいですが、このような物語も世の中には必要でしょう。苦しく悲しいニュースが多いからこそ、人類の未来を信じようとする行為に価値があります。おとぎ話かもしれません。が、絶望だけでは人は生きてはいけないのです。

 

ただ美衣奈の扱いが道化でちょっと悲しいな……と思っていたらエピローグでとんでもないことになっていていろいろ許してしまいました。たくましい。