ブックワームのひとりごと

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AmazonPrime『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見た感想

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あらすじ・概要

戦後の日本。モーレツサラリーマンである水木は、出世のために製薬で栄えた富豪、龍賀家が暮らす鬼哭村に向かう。その途中で謎の男と出会い、彼をゲゲ郎と名付けた。水木は、徐々に龍賀家のおぞましい真実を知っていく。

 

悪い親に対して怒ってくれてよかった

地獄地獄と脅されていたけれど、そこまで地獄だとは思わなかったです。見捨てられた子どもたちの悲哀と、子どもたちのために起こってくれる男の話でした。

 

水木は、権力を望み、龍賀の家にやって来ます。しかし、龍賀の子どもたちである沙代や時哉が虐げられていることを知り、そのあり得ないほどの搾取に嫌悪感を抱いて吐いてしまいます。

ついには水木は世界に危険が及ぶとしても、元凶に怒りをぶつけることを選びます。

 

このところ、毒親についての漫画や小説で、「親はどうにもならないから自分が強くなるしかない」という結末を何度か見たので、水木がはっきり怒ってくれたのは胸がすくような気持ちになりました。

現実世界ではどうしようもないにしても、フィクションならこのくらい怒ってもいいじゃないかとなりました。

 

水木は沙代に好意を抱いてそうですが、それは憐憫や自己投影が多く含まれるのだろうなあ、と感じました。

要は下心があるのですが、下心がある人間が他人を搾取する人間にキレることに価値があります。

それは戦争で苦しんだ、自分自身を救うための怒りだったのだと思います。

 

主人公以外は皆悲劇的な結末を迎えます。しかし最後に彼らの物語を書き残すのが記者だったのも、よかったですね。今はマスコミの信用が低迷しています。逆に虐げられる人を覚えておくために記録に残す、ジャーナリズムらしい記者が出てきてくれて安心しました。

 

最近見たアニメ映画では政治性やメッセージ性が強かったです。こういうのもいいですね。