ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

古代日本の世界で少数民族の少女と大王の血を引く男が出会う―円堂豆子『雲神様の箱』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

雲神様の箱 (角川文庫)

 

あらすじ・概要

双子の姉の罪をかぶって土雲の一族を追い出され、雄日子という男に仕えることになったセイレン。セイレンは固定観念に囚われない雄日子の人格に惹かれていく。一方で、大王の政治に不満を持った人々によって、政治の世界は不穏さを増していた。

 

 

突然巨大感情出てきて驚いた

懐かしい感じの古代日本ファンタジーだなあと思っていたら、後半に帝王の器である男の主人公への巨大感情が始まりました。びっくりしました。

主人公セイレンは理由あって土雲の里を終われ、姉のかわりに大王の血を引く雄日子に守り人として仕えることになります。

最初は雄日子に反発していたセイレンでしたが、身分の上下や性別に囚われず、セイレンを大切にしてくれる雄日子に、親愛の情を覚えます。

しかし終盤になってくると雄日子は善悪では測れない、特別な価値観を持っていることが明らかになります。

その状況下のセイレンの衝撃、そして帝王の器である人間の特殊さには痺れました。

 

古代が舞台なので現代とは違う倫理観がありますが、読者が嫌な気持ちになるシーンはセイレンがびしばしツッコんでくれるのでストレスが少なかったです。

舞台が近畿なので土地勘がある人間としても面白かったです。それぞれの地域の距離感がわかっているとより楽しめるでしょう。

 

Web小説の書籍化であり、全部は本になっていないようですが、続きも読みたいです。