ブックワームのひとりごと

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もっと童話要素の強いまま突っ走ってくれればよかったのに―三方行成『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』

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トランスヒューマンガンマ線バースト童話集 (ハヤカワ文庫JA)

 

あらすじ・概要

遠い未来、人間が人格をデジタル世界にコピーしたり複製したりが可能になった。「トランスヒューマン」と呼ばれるようになった人類は電脳世界と現実世界の両方で新しい人生を謳歌する。そんな中に、姫君や翁がいて……SF世界で童話パロディをする連作短編集。

 

童話と関係ないパロディが増えたのが残念

面白いことは面白んですが、2つの個所で文句をつけたくなる要素がある本でした。

 

まず面白いところから話します。人類が現実の肉体を脱ぎ捨て、デジタル世界で自由に生きられるようになった世界観は魅力的でした。

造語や特殊な言葉がぽんぽん飛び交う中で、話がよくわからなくなりそうになっても「童話パロディ」という軸があるから迷子にならずに読むことができました。

細かいことを放り投げ、わけのわからない状況に身をゆだねるような読書でした。

 

ただ、後半の作品は、童話要素が減って、童話と関係ないパロディが多くなったのが残念でした。童話パロディというところで作品に興味を持ったので、そこは一貫していてほしかったです。

 

そして、人類が肉体を脱ぎ捨てる作品であるのに、男女の性愛がベースになっている作品が多かったのも不満でした。肉体を失えば、ジェンダー観も相当ガバガバになっているのでは?

もともと異性愛要素がある「シンデレラ」はいいとして、「アリとキリギリス」など、もともと異性愛の要素のない作品まで異性愛の物語にされるのは違和感がありました。