ブックワームのひとりごと

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【BLでつながる女子高生と老女の友情】鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』感想

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メタモルフォーゼの縁側(1) (カドカワデジタルコミックス)

 

あらすじ・概要

女子高校生のうららは、BLが好き。ある日バイト先にやってきた老女、雪と出会い、BLをきっかけに仲良くなっていく。BLトークに花を咲かせているふたり。うららは、次第に「自分もBLを描いてみたい」と思い、同人イベントにBL同人誌を作って参加することにする。

 

イケメンと恋愛フラグが立たない物語

映画と比べるとやはり漫画の方が洗練されてすっきりしている気がします。映画も悪くはないんですが、空気感や間を再現するのは難しいですね。

 

年の差のある女性ふたりが、BLという趣味を通して仲良くなり、思いを共有し合うのはほほえましかったです。

主人公の片方が老女なので、漫画の刊行スピードを見て死ぬまでに読み切れるか不安になったり、娘との関係だったりが、リアリティをもって描かれるのが素敵でした。

 

主人公うららとイケメンの友人、紡とに、恋愛フラグが一切立たず「異性の友達」でありつづけるのも新鮮でよかったです。しかもうららは、別の女の子に恋をする彼を応援しさえします。

こういう「友達だけれど恋愛相手は別」という友情は好きです。

一方で、紡の彼女英莉はうららと紡の関係が気になり、嫉妬してしまうのもわかるなあと思ってしまいました。彼氏に、こんな仲のいい異性の友達がいたら気になってしまうでしょうね。

 

淡々としていますが、その中の登場人物たちの微細な心の動きが印象的な作品でした。