ブックワームのひとりごと

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【発達障害の夫に振り回される日々を漫画で昇華する】ちくわ『好きになった人はアスペルガーでした』

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好きになった人はアスペルガーでした (コミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

著者は、テニススクールの先生をしている男性と出会う。正直すぎて、独特の価値観を持つ彼に、著者は魅力を感じていた。しかし彼の空気の読めなさに激怒したある日、彼は自分がアスペルガー症候群だと告白する。

 

分かり合えない日々を開示することで事態が好転する

著者の伴侶が、自分のことをシザーハンズと言うシーンで胸がつまりました。無意識のうちに他人を傷つけてしまうのに、どうすればいいのかわからないと感じているアスペルガー(ASD)男性の悲哀を見ました。

 

著者は伴侶の個性的なところ、普通に囚われないところを魅力的に感じて彼を選びます。しかし他動に振り回されたり、人間の細かい機微がわからない彼に傷つけられたりして、疲弊していきます。

その中で、生活に工夫を重ね、同居生活を安定させていきます。

 

印象的だったのは、著者夫婦にとって、「発信すること」が大きなきっかけになったことです。

著者はInstagramで発達障害について発信するようになって、多くの人の共感を得て、生きるのが楽になりました。

また、伴侶の方もInstagramの更新を見ており、絵になった自分のやらかしや、他人から見た自分を見て、生活を学んでいきます。

自分を開示することが、ふたりの人生を変えたのです。

自分のことを話すと、分かり合えないことに傷ついてしまうこともありますが、それでも開示することで事態が好転することもあるのだと感じました。

著者も伴侶も、自分のことを省みて考えることができてよかった、と思う作品でした。

 

ついでに補足しておくと、今はアスペルガーという言い方は公式のものではなく、ASD(自閉スペクトラム症)と呼ぶことが多いです。ただ、アスペルガーという言い方がしっくり来ていていまもそう名乗る人もいますね。