あらすじ・概要
偏屈でわがままだった父は、認知症になってからおとなしくなった。食べ物を上手く食べられなかったり、目的地にたどり着けなかったり、トイレに失敗したり。できないことが増えていく父との生活を、ユーモラスに描くコミックエッセイ。
のんびりした内容の介護エッセイ
のんびりした内容で、あまり過激な表現がなく、穏やかな気持ちで読み終わりました。
「偏屈だった父がおとなしくなった」という点ではある意味暮らしやすくなっているところがミソですね。
確かにトイレの粗相をしても、実際には怒っていないない話をしていても、著者の父の反応がかなりあっさりしていて穏やかなんですよね。著者がそういう風に描いているのもあるかもしれませんが。
また、気性の荒い人間ながらも、妻のことは愛していて、妻が生きているときは人一倍心配していたのも胸が詰まりました。
著者の父の心が、まだ妻が生きていたころの時間にとどまり、妻のことを考えて暮らしているのが切なかったです。
認知症になるとさまざまなことを忘れてしまいますが、それでも残る感情や記憶について、考えさせられます。作中の描写はあくまでのんびりしているけれど、心にしみるコミックエッセイでした。