ブックワームのひとりごと

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『”隠れビッチ”やってました』あらいぴろよ 光文社 感想

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“隠れビッチ”やってました。

 

あらすじ・概要

男性たちをもてあそび、振ることで歪んだ承認欲求を得ていた著者。一方で、絵での仕事がしたいと思いながらも、行動に移せない夢見る女性でもあった。著者が自分の内面に向き合い、自分と相手を大事にすることを学ぶと、人生が変わり始める

 

受け入れることからすべては始まる、というあがき

なかなかの問題作でした。反省するのが前提とはいえ、著者がやったことを許しがたいと思う部分もあります。でもすごく面白いです。

著者は複数の男性に気を持たせて、振るのが趣味。他人の理想の女性を演じることで心をつかみ、不要になったら捨てて来ました。異様とも言っていいモテへのこだわりようは、一種の恋愛依存症でしょう。

その一方で、著者はクリエイティブな仕事に憧れる、ワナビでもあります。

自分が承認欲求をこじらせていることに気づき、変わりたいと奔走するのがこの漫画のテーマです。

自分がやりたいこと、望んでいることにきちんと向き合えないことが、自分も周りも不幸にしている。その事実は悲しいですが、認めるべきものでもありました。

 

最終的には、許す許さないではなく、目の前のことを受け入れるという結論になるところがよかったです。DV男だった父も、それを助長させていた母も、ふたりから生まれてきた自分自身も、許すのではなく「そこにあるもの」と受け入れる。それによって著者は一歩踏み出せるようになりました。

よい悪いでも、許す許さないでもなくもうひとつの評価軸を得て作品を締めくくるところが面白かったです。