ブックワームのひとりごと

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『母親に捨てられて残された子どもの話』菊屋きく子 KADOKAWA 感想

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母親に捨てられて残された子どもの話 (コミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

主人公の家には母親がおらず、父と祖母と暮らしていた。家庭に興味のない父と、暴言を吐きながら主人公を育てる祖母。主人公は孤独にさいなまれる子ども時代を送る。父の再婚相手がやってきて、祖母が施設に行くことになってから、主人公も自立を決意する。

 

子どもには何の意味もなく幸せになってほしい

著者の経験がベースになっているようですが、主人公と著者の名前が違うので、ある程度の脚色を前提に描かれた作品でしょう。

不倫によって母親が出て行き、祖母に育てられた女の子。父親は家庭に関心を持たず、祖母はいやいや少女を育てているので意地悪です。身近な大人がまともに愛してくれない家庭で、主人公は孤独に育ちます。

 

まだ若いのに孤独をしみじみと噛みしめている主人公は切ないです。誰にも言えない気持ちを夜のベンチで考える姿を見ていると、やるせない気持ちになりました。

やはり子供は何の意味もなく幸せでいてほしいです。

 

父の再婚をきっかけに、自分の居場所はここではないと気づいた主人公は、寮のある高校に通い家族と距離を置きます。あまりにも早い一人立ちだなあと切なくなりましたが、最後のすがすがしい顔に少しだけ救われた気持ちになりました。