ブックワームのひとりごと

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文字が書けない障害とはどういうものか―千葉リョウコ『うちの子は字が書けない 発達性読み書き障害の息子がいます』感想

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うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)

今日の更新は、千葉リョウコ『うちの子は字が書けない 発達性読み書き障害の息子がいます』です。

ディスクレシアのコミックエッセイって珍しいな、と思って読んでみました。

 

あらすじ

六年生になっても、カタカナが書けなかったフユ。検査の結果、彼は「発達性読み書き障害(ディスレクシア)」ということがわかる。文字を書くためのトレーニングや、発達性読み書き障害の悩みを母親の視点から語る。

 

 自分自身の失敗について振り返ることができる強さ

このエッセイコミック、自分自身の失言について反省も含めて描いているところが、誠実だと思いました。

おまけページに、こういうシーンがあります。

「ナツは漢字覚えられるんだから ちゃんと勉強しなさいよ」

(中略)

「…でもさ… そうやってお兄ちゃんと比べられても どうしようもないじゃん 私は私だしお兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ 変に特別扱いしてるのお母さんじゃん」

(P42)

 (※ナツはフユの妹)

このシーンめちゃくちゃわかる! となりました。うちも私以外の身内が障害者なんですけど、こういう説教にそのことを持ち出して来るの嫌なんですよね。

障害のある子を育てる母親のエッセイって、「自分がつらい、悲しい」ってなってしまうことも多いんですが(本当に大変なので、そうなってしまう気持ちもわからなくもないけど)、著者は母親としての自分を客観視することができています。

そういうところが、とてもいいお母さんでした。

 

ディスレクシア(発達性読み書き障害)について、言葉は知っていましたが、具体的にどういう困りごとがあるかは知らなかったので、いろいろ参考になりました。

「やる気がない」と思われて批判されたり、板書を写すのがなかなか書き終わらなくて困ったり。

小学校のころ、異様に文字を書き間違えたり書くのが遅かったりする子がいましたが、あの子もひょっとしたら発達性読み書き障害だったのかもしれません。

監修の宇野彰と、著者の対談形式のコラムもかなり情報力が多く、気合の入ったつくりでした。

発達性読み書き障害を知るきっかけとしては、とてもいいコミックエッセイだと思います。多くの人に読んでみてほしいです。

 

まとめ

内容が濃く、また、母親としての視点が優しくて、とてもよかったです。

いろいろ大変なことが多いでしょうが、彼が楽しい人生を送れますように。

うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)

うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)