あらすじ・概要
不妊治療を経て、ふたりで暮らすことを決意していた著者夫婦。社会がコロナ禍にさしかかり、疫病の不安の中、妊娠が発覚する。自分のこと、コロナ禍の社会のことを思い悩みながら、出産までたどり着いた奇跡を描く。
コロナ禍の妊娠エッセイでコロナ禍のことを思い出す
もうコロナ禍というのが昔のことのように思えて愕然としますが、それも含めて面白かったです。
まだ終わったわけではないんですけどね、コロナ禍。勘違いしそうになります。
不妊治療を経て、子どものいない暮らしをしようと決意した後の妊娠。戸惑いながらも、出産を決意します。
相手がどんな反応をするか不安になる描写が心に来ました。
コロナ禍の中で妊娠、出産をする不安。病院でも出産に立ち会ってもらうことができません。当時でしか味わえなかった閉塞感を思い出します。
あっさりとした性格で、でも著者を見守っている伴侶のキャラクターに癒されました。コロナ禍の中でも、こういう人と一緒にいられれば心強いでしょう。
また、著者はコロナ禍の中で自分の人生を振り返っています。
最終的にはハッピーエンドになるので、今妊娠や出産で悩んでいる人にとっては逆にしっくり来ないかもしれません。
でも子どもを扱った作品はこうなるよなあと思います。
コロナ禍があってよかったかもしれない、というのも一部の人の神経を逆なでする発言だと思うのですが、それだけ彼女の本心なのだと思いました。