ブックワームのひとりごと

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読みやすいけれど奥深い 中学生におすすめの小説25選

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書きかけのまま放置していたおすすめまとめ記事を消化。

中学生のために小説を選ぶのは結構難しいですね。お仕着せの物語は物足りなくなる時期だし、かといって過激すぎるのも考え物だし。

せっかく記事を書くので、ライトノベル・一般・児童書というレーベルやジャンルにこだわらず、中学生が楽しめそうならなんでも載せるスタイルにしています。

 

 

 

『カラフル』森絵都 文春文庫

天使によって死の淵から救われた少年。彼は生き返るために試練を与えられる。それは他人の家族の息子として過ごすこと。そして自分自身の罪を思い出すこと……。

 悲しい出来事がありつつも、どこか優しくポップな世界が描かれます。さくさく読めて、ほっとします。

ページ数も少ないので読破しやすいです。

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 

『天山の巫女ソニン』菅野雪虫 講談社文庫

巫女たちが暮らす天山を下りた落ちこぼれのソニン。彼女は口のきけない王子に出会い、彼の侍女になる。それと同時に、ソニンは大きな陰謀へと巻き込まれていく。

淡々としたわかりやすい文章ながら、起こるできごとはなかなかハード。よりよい政治とは何か、考えさせられます。

ヘビーな話でありながら、主人公ソニンの成長を主軸にしているので、あまり説教臭くは感じません。

天山の巫女ソニン(1) 黄金の燕 (講談社文庫)

天山の巫女ソニン(1) 黄金の燕 (講談社文庫)

 

 

 『穴 HOLES』ルイス・サッカー 講談社文庫

無実の罪で砂漠の矯正施設に入れられたスタンリー。延々と穴を掘り続ける生活に嫌気がさすが、仲間との出会いを通して少しずつたくましくなっていく。

完璧なプロットが素晴らしい。すべての伏線が回収され、文句なしのエンドにつながるところは爽快感があふれます。

物語の面白さを知るには最高でした。

穴  HOLES (講談社文庫)

穴 HOLES (講談社文庫)

 

 

 『給食争奪戦』アズミ 電撃文庫

給食の余りをめぐって戦う子どもたちほか、小学生を描いた連作短編集。

構成が素晴らしくお話として面白いです。小学生の日常ものでありながら、ハラハラドキドキさせられます。

教訓めいたオチでもわざとらしくなく、主人公たちが過ちに気づく過程が自然です。中学生でも、思うところはあるのではないでしょうか。

給食争奪戦 (電撃文庫)

給食争奪戦 (電撃文庫)

 

honkuimusi.hatenablog.com

 

 『キノの旅 the Beautiful World』時雨沢恵一 電撃文庫

旅人キノがさまざまな国に行きそこで出会った人々と交流する連作短編集。

ライトノベルには珍しい、社会風刺性がある物語。読むと身につまされます。それでいてどこかユーモアがあって、説教臭さはありません。

非常にブラックでグロデスクな話も多いので、中学生のみなさんはこっそり読んだ方がいいかもしれません。

 

 『ダレン・シャンダレン・シャン 小学館

友人の身代わりになってヴァンパイアになったダレン。彼はヴァンパイアの戦いに巻き込まれていく。

ダークでハードな展開の多いファンタジー。しかし息をつかせぬ展開はこれぞ物語!って感じで面白いです。

キャラクターもみんなたくましくてかっこいいので、読んでいて楽しいです。

ダレン・シャン―奇怪なサーカス

ダレン・シャン―奇怪なサーカス

 

 

 『DIVE!!』森絵都 角川文庫

飛び込み競技に青春をかける中学生の物語。

飛び込みの美しい描写が読んでいて楽しいです。読むと飛び込みが見てみたくなってきます。

メインキャラクターの選手たちは、あまり性格がいいとは言えないんですが、その人間臭さ、傲慢さが逆に好きになってきます。ひねくれつつも、頂点を目指すところがよかったです。

DIVE!! 上 (角川文庫)

DIVE!! 上 (角川文庫)

 
DIVE!! 下 (角川文庫)

DIVE!! 下 (角川文庫)

 

 

 『ジーンズの少年十字軍』テア・ベックマン 岩波少年文庫

ひょんなことから中世にタイムスリップして少年十字軍と動向を共にすることになった少年の話。

わかりやすく言うと、現代っ子がトリップして無双する話。なろう小説が好きな人はきっと好きだと思います。

中世と現代の意識の差、考え方の差が出ていて対比として面白いです。

ジーンズの少年十字軍〈上〉 (岩波少年文庫)

ジーンズの少年十字軍〈上〉 (岩波少年文庫)

 
ジーンズの少年十字軍〈下〉 (岩波少年文庫)

ジーンズの少年十字軍〈下〉 (岩波少年文庫)

 

 

 『きよしこ重松清 新潮文庫

吃音(いわゆるどもり)の少年が成長していく連作短編青春小説。

障害でも病気でもないけれど、日常に困難を抱えてしまう吃音の生活がわかります。著者も昔吃音に悩まされていたようで、その経験をうかがわせます。

最後の短編で、主人公がした決意が好きでした。成長を描いた小説の結末としてふさわしい、決断だったと思います。

きよしこ (新潮文庫)

きよしこ (新潮文庫)

 

 

 『夏と花火と私の死体』乙一 集英社文庫

ある夏、小学生のきょうだいに殺された「私」。死体である私は二人に証拠隠滅されようとする……。

ホラーが平気であればぜひ読んでほしい本です。オチの後味の悪さが本当に最高です。

死体の一人称という特殊な小説ですが、文体は読みやすく、あまり本を読まない方でもとっつきやすいと思います。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

 

 

 『空の彼方』菱田愛日 メディアワークス文庫

小さな防具屋「シャイニーテラス」にやってくる客たちと、店主の物語。

ファンタジー小説でありながら、武具屋という地味な舞台を題材にしています。しかしそれが、逆に親しみを持てて面白いです。主人公ソラが狭い世界から覗き込んだ外側の世界が楽しめます。

最後には少しほろりとくる、優しい物語です。

空の彼方 (メディアワークス文庫)

空の彼方 (メディアワークス文庫)

 

 

 『アンソニー はまなす写真館の物語』茂市久美子 あかね書房

写真屋の五代目が受け継いだ、しゃべる写真機のアンソニー。主人公はアンソニーとともに不思議なできごとを体験していく。

ファンタジックな情景とともに、「伝統を受け継ぐこと」について考えさせられる内容でした。

あとアンソニーがとてもかわいいです。主人公との対話が面白くて萌えます。

アンソニー―はまなす写真館の物語 (あかね・ブックライブラリー)

アンソニー―はまなす写真館の物語 (あかね・ブックライブラリー)

 

 

 『ある日、爆弾がおちてきて古橋秀之 メディアワークス文庫

「時間」をテーマにしたSF短編集。ひとつひとつの物語につながりはありません。

同じ「時間」というテーマでここまでさまざまな内容が書き分けられるのか、と驚きます。文章も読みやすくて、読書初心者におすすめです。

さらに、登場する女の子がみんなかわいいです。すごくときめきます。

 

『ラベルのない缶詰をめぐる冒険』アレックス・シアラ― 竹書房文庫

ラベルのない缶詰をきっかけにした、ちょっと怖い冒険譚。

わかりやすいグロはないんですが、よく考えるとぞわっとくる内容です。胸の中にいやーな気持ちが広がります。

怖い要素はありますが、基本は少年少女の冒険譚なので、読み終わると爽快感がありました。

ラベルのない缶詰をめぐる冒険 (竹書房文庫)

ラベルのない缶詰をめぐる冒険 (竹書房文庫)

 

 

 『森の魔獣に花束を』小木君人 ガガガ文庫

大人しい少年が森の中で出会った植物の怪物。少年はその怪物と仲良くなっていき……。

童話的な世界観が印象的なライトノベル。ヒロインがかわいらしいのでとても和みます。

話としてはべたべたな内容ですが、その王道な異種交流譚が愛しくなってくる作品です。

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

 

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

 『雨の日のアイリス』松山剛 電撃文庫

博士に仕えるロボット、アイリス。博士の死から、彼女は波瀾万丈なできごとに巻き込まれていく。

美少女ものと思ったら思わぬ展開をする話です。内容としてはかなりベタベタなんですが、きちんと順序立てて心理描写がされているので、素直に「いい話だった」と思えました。

シンプルだけど心に来る話です。

雨の日のアイリス (電撃文庫)

雨の日のアイリス (電撃文庫)

 

 

 『勾玉三部作荻原規子 徳間文庫

不思議な力を持った勾玉をめぐる、日本神話をベースにした和風ファンタジー。主人公はそれぞれ別です。

展開はハード。しかし苦難の中でどうにかあがこうとする主人公たちが美しいです。どんな主人公も、応援したくなってきます。

日本神話のアレンジの仕方も、元ネタを知っているとにやりとできて楽しいです。

空色勾玉 (徳間文庫)

空色勾玉 (徳間文庫)

 

 

 『RDG レッドデータガールシリーズ』角川文庫

神社で育った少女泉水子(いずみこ)。彼女は世界遺産候補が集まる学校に入学することになり……。

普通だけど普通じゃない現代ファンタジー。特に文化祭編の怒涛の展開は面白かったです。徐々にたくましくなってくる泉水子が好きになりました。

マイナスからのスタートだった主人公カップルが、徐々に心を通わせていくのもときめきます。

 

 『西の善き魔女シリーズ』荻原規子 角川文庫

偏屈な父と暮らすセラフィールドのフィリエル。彼女は王族の血を引いていることがわかり……。

少女の冒険と成長を描く物語。オチには「ええっ?」となりました。ネタバレなしで読んでほしいです。

眼鏡幼馴染学者根暗闇、とフィリエルの幼馴染ルーンの属性がてんこ盛りでやばいです。それでいて、キャラ崩壊はしないからすごい。

 

 『古典部シリーズ』米澤穂信 角川文庫

ゆるい部活「古典部」そこに舞い込んでくるささやかな事件を、探偵奉太郎が解決していく日常ミステリ。

どこかはすに構えたような作品ですが、そこが逆にはまります。事件を解決しても誰かが幸せになるわけではない、そのシビアさが癖になりました。

氷菓』のタイトルでアニメ化もされています。

氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫)

氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫)

 

 

 『晴れた日は図書館へいこう』緑川聖司 ポプラ文庫ピュアフル

図書館好きな少女、しおりが図書館で起きる事件を推理する、日常の謎もの。

優しい物語でありながら、説教臭くはならない絶妙なバランスが好きです。登場人物みんなに親しみを持てます。

普段知ることのない、図書館職員がどんな仕事をしているのかを垣間見ることができるのも面白いです。

(P[み]4-1)晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)
 

honkuimusi.hatenablog.com

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 『雨にもまけず粗茶一服』松村栄子 ポプラ文庫ピュアフル

茶道の家元の家に生まれた少年が家出し、京都に向かう成長ストーリー。

基本的に明るくユーモアがある内容ながらも、主人公たちが大切なものを見つけ成長していくさまはしっかり描かれています。王道青春物でした。

キャラクターがみんな濃くて、好きになってしまいます。わいわいしているだけで楽しくなってきました。

(P[ま]1-2)雨にもまけず粗茶一服<上> (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ま]1-2)雨にもまけず粗茶一服<上> (ポプラ文庫ピュアフル)

 
(P[ま]1-3)雨にもまけず粗茶一服<下> (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ま]1-3)雨にもまけず粗茶一服<下> (ポプラ文庫ピュアフル)

 

 

 

 『ホラー短編集シリーズ』岩波少年文庫

海外ホラーを子ども向けに翻訳したアンソロジーシリーズ。英米版を金原瑞人、フランス版を平岡敦が担当。

編訳者のホラーへのこだわりが光ります。巻末の著者自らの解説を含めて面白いです。

普段興味がなければ触れることがない、海外文学を知るきっかけとしてもいいと思います。

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

 
南から来た男 ホラー短編集2 (岩波少年文庫)

南から来た男 ホラー短編集2 (岩波少年文庫)

 
最初の舞踏会 ホラー短編集3 (岩波少年文庫)

最初の舞踏会 ホラー短編集3 (岩波少年文庫)

 

honkuimusi.hatenablog.com

 

 『しゃべれどもしゃべれども佐藤多佳子 新潮文庫

売れない落語家が一般人に落語を教えることになる。しかし教わりに来た人々はどれも曲者ぞろいで……。

ダメな人々が、落語をきっかけに少し考え方を改めたり、一歩踏み出したりするところが愛しいです。劇的な展開はないですが、そこがリアリティがありました。

「言葉」をベースに人々の成長を描くストーリーです。

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

 

 

 『テラビシアにかける橋』キャサリン・パターソン 偕成社文庫

夢見がちな少年は、引っ越してきた少女と架空の国「テラビシア」を作って遊ぶ。

あまりフィクションで泣かないタイプなんですが、これだけは感情移入しすぎて何度も泣いてしまいます。創作活動をしている人なら思うところがある作品だと思います。

最後に『テラビシアにかける橋』というタイトルの意味が分かるのが、本当に美しかったです。

テラビシアにかける橋 (偕成社文庫)

テラビシアにかける橋 (偕成社文庫)

 

 

まとめ

けっこうたくさん挙げたので、何か気になるものはひとつくらいあるのではないかと思います。

これを参考に、中学生のみなさんも読書に興味を持っていただけると幸いです。