遠鳴堂シリーズはこれがラスト。早かったなあ。
あらすじ
遠鳴堂に倫太郎のかつての相棒、志野が訪ねてくる。彼女は倫太郎に本の修繕を依頼した。明は鳴弦の力を使い、本の過去を覗き見る。そこには、本にまつわる悲しい思い出があった。
倫太郎がだめな回
今回は、保護者たる倫太郎が結構だめな感じだったのが印象的でした。
明を庇護し支える側だった倫太郎が、実は明に支えられていた部分があることに気づきました。そして案外、思いつめるタイプなところも。
今までの事件の構図とパターンが違いますが、よく考えると、その片鱗は今までのストーリーの中にありました。だから意外であっても、唐突な感じがしなかったです。
確かにべらべら話すようなことではないけれど、心の中に押し込めてしまうといろいろしんどいだろうに。
仕方ないからそうするのではなく、「あなたと暮らしたい」という確固とした意志を
、明が持てたのは喜ばしいことでした。そういう優しいところ、情が深いところは、似た者同士の叔父甥だと思います。本人たちに、その自覚はなさそうですけどね。
おそらく打ち切りなので残念
他のシリーズを出していながら、三年近く続刊が出ていないということは、おそらく打ち切りでしょうね。
完結しない可能性の高い作品をおすすめするのは、私の本好きの倫理観をもってすると、あまりやりたくないことです。
ただ、大きなストーリーは完結していませんが、事件そのものは一巻ごとにきちんと解決しているので、投げっぱなしというほどではありません。
作者の他のシリーズが好きで、完結しなくても悲しくならないという人であれば、読んでもいいと思います。
望月や安達の淡い恋、ちょっと変わった家族の関係の、結末が見たかったなと思います。
まとめ
たぶん未完なので気軽におすすめはできませんが、話は面白かったし、キャラクターも好きでした。
作者が好きなら、読んでみてもいいのではないかというシリーズです。
遠鳴堂あやかし事件帖 (3) あの星が見えなくなるまで (富士見L文庫)
- 作者: 椎名蓮月,水口十
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2015/02/11
- メディア: 文庫
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