ブックワームのひとりごと

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何者にもなれない少女がアラビアンナイトの世界で魔神になる 荻原規子『これは王国のかぎ』再読感想

これは王国のかぎ (中公文庫)

昔好きだった本を読み返すシリーズ。今回は『これは王国のかぎ』です。

たぶん最初に読んだのは中学生ぐらいです。

 

あらすじ

失恋をきっかけに落ち込んでいたひろみは、ある日アラビアン・ナイトの世界に魔神(ジン)として呼びだされる。ハールーンというターバンの男性と行動を共にすることになるが、彼はある秘密を抱えていた。

 

魔神に転生したけど何か質問ある?

「属性を変えてトリップ」や、「物語の中にトリップ」は、今の転生ものに通じるところがあるな……と読んでいて思いました。

異世界転移、転生ものは何度も再話されていて、そういう意味では昔話のような趣があります。

この作品の面白いところは、ひろみがどれだけ冒険をしても誰とも恋愛フラグが立たないところですね。

読み終わって全体を考えてみると、「ああひろみは誰ともくっついてはいけなかったんだな」と気づきました。

ひろみは外側からやってきたので、外側へと帰らなければならない。そういうちょっとドライなところが好きです。

 

実は性転換もの

かなり内容を忘れていたので、性転換要素があったことを今更思い出しました。

当時(中学生ごろ)はそこをただ面白いエピソードとして読んでいたような気がしますが、今となってはちょっと興奮を覚えますね。

TSF(性転換もの)が好きになったから、こういうシーンにどきどきしてしまうようになりました。

個人的な趣味を言わせてもらえば、ラシードがあのままなほうが興奮しますが、元に戻らないと話がまとまらないので、やっぱり戻らないといけないんですよね。

懐かしいと思いつつ、自分の趣味の変化を感じました。作品の内容とはあまり関係のないところで感慨深くなってしまいました。

 

まとめ

懐かしいなと思いつつ、自分の趣味の変化が露わになった一冊でした。

「本を読むことは自分と向き合うこと」と誰かが言っていたけど、再読は自分の変化と向き合うことかもしれません。

これは王国のかぎ (中公文庫)

これは王国のかぎ (中公文庫)

 

 

ファンタジー要素は少ないですが、続編『樹上のゆりかご』もおすすめです。

樹上のゆりかご (角川文庫)

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