今日の更新は、遠藤淑子『ファミリーアワー』です。
あらすじ
両親と暮らしていない五人兄弟。個性的な彼らはいつでも大騒ぎをしている。社会人から小学生の一家を中心に、家族の事情を描く短編集。
テンポがいい家族ドラマ
全体的にわいわいした感じで面白かったです。キャラクター同士のテンポのいい会話が楽しい。にやにやしながら読んでしまいます。
テーマとしては結構シリアスなんですが、それを感じさせない、いい意味での軽さがありました。説教臭くならず、オチがすっきり入ってきました。
ただストーリーとしてはべたなので、もうちょっとひねりがあってもよかったかな、とも思います。この辺は好みかな。
いい話だと思うけれど、こう、特筆することが少ないんですよね。難しいです。
個人的に好きなのは女装趣味の父親とその娘の話。セクシャルマイノリティではなく「性癖」の話で面白かったです。
かわいいものや女性的なものが好き、でも自分は事実としても自認としても「男」である……という父親と、それを受け入れられない娘。
生理的な嫌悪感をどう乗り越えるか、というテーマが興味深かったです。要するに、慣れとそれ以外の部分を見るしかないのだけれど……。そこまで至ったふたりに嬉しくなりました。
まとめ
ちょっと物足りないところもありましたが基本的には面白かったです。
普通の話って評価がしにくいんですけれど、面白く描ける人は案外少ないんですよね。