ブックワームのひとりごと

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ヒロインがイタいが主人公には必要だったのかもしれない―壱月龍一『ラ・のべつまくなし ブンガクくんと腐思議の国』

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ラ・のべつまくなし ブンガクくんと腐思議の国 (ガガガ文庫)

今日の更新は、壱月龍一『ラ・のべつまくなし ブンガクくんと腐思議の国』です。

 

あらすじ

売れない小説家、矢文学は、糊口をしのぐためにラノベ作家に転向する。原稿にを書けなくなり、立ち寄った図書館で出会った少女に一目ぼれ。その少女明日葉は、男と男の恋愛が好きな女性、腐女子だった!

 

好きなものを好きと言う素晴らしさを歌い上げる

まずヒロインの明日葉がイタいタイプの地雷オタクだったので、「その女はやめとけ!」と言いたくなってしまいました。

BLのなんたるかを知らない人を妄想に巻き込むのはマナー違反ですよ……。しかも原作者。他のファンがこの事実を知ったらつるし上げの憂き目に遭います。

ただ、明日葉は17歳の高校生なので、ありうるかもしれないと思ってしまうのが怖いところ。

 

そんなオタクのマナーというのを全くわかっていない明日葉に対して、ブンガクこと学はとても優しいです。惚れた弱みはあるにしろ、彼女の趣味を理解しようと努力しています。本当にいいやつですね。

純文学を志しながら、ラノベを書いている。そんな自分を肯定できなかった学が、明るく強く「好きなもの」を語る明日葉に感化されて、今の自分を受け入れられるようになったのはうれしかったです。オタクとしてはどうかと思うけど、学にはこういう人が必要だったのかもしれない……。

さらっと読めるけれど心理描写が自然で、「わかる」と思いながら読めました。

 

純文学であれラノベであれ、キャラクターが持っている創作物への愛は心地よかったです。好きなものを心の支えにして、生きていくことの素晴らしさが歌い上げられているます。

 

まとめ

明日葉の行動はちょっとどうかと思うんですが、ストーリーは楽しかったです。主人公のいい奴っぷりも愛しいです。

前向きになりたいとき向けの作品ですね。

ラ・のべつまくなし (ガガガ文庫)

ラ・のべつまくなし (ガガガ文庫)

 
ラ・のべつまくなし2 ブンガクくんと腐たご星 (ガガガ文庫)

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