今日の更新は、早瀬耕『プラネタリウムの外側』です。
あらすじ・概要
元恋人で友人を亡くした佐伯衣理奈は、彼の死の手がかりを求めて南雲助教の元を訪れる。彼は会話プログラムを使って、異性・同性と話せるチャットサービスを運営していた。表題作ほか、会話と自己を扱った連作短編。
SFだけどオカルトっぽい
面白かったんですけどSFというよりオカルトっぽさを感じました。ストーリーのところどころにはっきり解決されていない部分があるからかもしれません。
プログラムに人間のことがわからないように、人間にもプログラムがどんな意図を持っているのかわからない部分があります。そこが不可解で、オカルトな印象を受けたのかもしれません。
自分たちがプログラムを外側から、メタ視点で見ているのと同じように、プログラムも人間たちをメタ視点で見ているのかもしれない。影響を与えているつもりで、影響を与えられているのかもしれない、という話でした。
おそらくそれがプラネタリウムの外側にいるということなんですね。
世界観は、iPadやアップルウォッチが出てくるのに、会話プログラムはこの世界の何倍も進んでいるというアンバランスな環境です。こういう現代社会に似ているんだけれど、一部だけテクノロジーが発達している世界観好きですね。
そのプログラム技術でやることが、出会い系チャットアプリの開発というのが笑えるけどリアリティがあります。人間ってそういうことやりそうですよね!
人工知能が会話にまつわる情報を提供しながら人間のサクラをサポートし、ユーザーを飽きさせないしくみは面白かったです。
『プラネタリウムの外側』まとめ
出会い系チャットアプリでこんなに話を膨らませることができるのが面白かったです。
みんなプラネタリウムの外側には出られない、そんな話でした。