あらすじ・概要
彼氏に裏切られたハンナは、アマゾンの奥地で鳥に似た不思議な生き物と出会う。うっかりその種族の求愛行動をしてしまったハンナは、その鳥、ナプタムに惚れられてしまうのだが……。人魚、人造人間、手足のない種族など、人と人でないものの関係を描く短編集。
人外と人間の関係が好きならおすすめ
上下巻になっていますが、2冊セットの短編集なので片方だけ買っても大丈夫。
著者のことはTwitterで回ってきたこの作品で知りました。
田島とバオシー #神話の獣 https://t.co/4mLVDyiLki pic.twitter.com/WvKWlGFOjL
— 墨佳 (@cart2017) September 24, 2020
何これ面白い! と思って紙の漫画を購入。
総合的な評価としては「人間と人外が好きな人にはおすすめ!」という感じです。「人でないもの」を描く画力が素晴らしいです。鳥人間のふわふわ感、トルソの戦士の硬質さ、花のたおやかさ、などなど。絵で魅せる方法がわかっています。
ストーリーもその美しい絵に合っていてよかったです。
以下、面白かった作品のレビューです。
「ナプタム」
鳥人間と人間の女性のラブストーリー
ストーリーは異種恋愛ものとしてベタな感じなんですが鳥人間たちがもふもふかわいいです。
ハンナがめちゃくちゃ頼もしい性格してるのもポイント高いですね。
「人魚」
孤立している漁師が不思議な女の子に出会う話。
ちょっと怖い話でした。クライマックスの大きな波が船を揺さぶるシーンは美しくも「死」がありありと表現されていました。
かわいい話かな? と思っていたのでびっくりしました。
「ひとでなしの花」
百合の姿をしている年上の女性と大学生が会話する話。
いやひとでなしってそういう意味かい! ユリに触れる東の手つきのエロティックさのあとで、あのオチが待ち受けているのが怖かったです。
漫画だからこそできる表現で面白かったです。
「トルソの戦士」
研究者の男女は未知の星で手足のない戦士と出会う。
う、美しい……石や金属のような質感の生き物。それが女研究者のワタナベを守ります。ロマンチックで悲しくて最高。
欠損ものなのに悲壮感が一切ないところも好きです。