ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

短編集

かっこよくない青春の一瞬のきらめき―豊島ミホ『檸檬のころ』

あらすじ・概要 田舎の進学校、北高。そこで学ぶ生徒たちや周囲の人間は、それぞれに悩みを抱えている。保健室登校の友人を持つ少女、建物の中で交際する寮生に悩む寮を管理する女性、進学で別れ別れになるカップル。みっともなくてみずみずしい、青春を描い…

失恋が連鎖する、数珠繋ぎ連作短編―角田光代『くまちゃん』

あらすじ・概要 アーティスト志望の男に恋した女、恋をきっかけにフリーターから脱出しようとした男、女優をやめて画家の男との結婚を狙う女。今回で振った側が次の回でふられる、「ふる・ふられる」でつながる連作短編。

「合わない」人間にもやりたいことを示してくれる―高野文子『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』

あらすじ・概要 小説の主人公に自分を重ね、本に耽溺する少女。空想と現実が混じる脳内で彼女は何を思うのか……表題作を含む三編を収録した短編集。

かわいい絵柄で一癖ある女の子を描く―アッチあい『このかけがえのない地獄』

今日の更新は、『このかけがえのない地獄』です。 あらすじ・概要 魔法少女になる夢を諦められない少女、自分が漫画の登場人物であることに自覚があるラブコメ漫画のヒロイン、女装をして好きな女の子と付き合う羽目になる少年……。若者たちの痛々しい青春を…

奇想をしっかり物語に落とし込む短編集―柞刈湯葉『人間たちの話』

今日の更新は、柞刈湯葉『人間たちの話』です。 あらすじ・概要 姉の子を引き取った学者が地球外生命体の研究と向き合う表題作ほか、雪に覆われた日本で南を目指す男と少年、相互監視が行き届いた世界で楽しく暮らす人々、どんな宇宙人たちにもラーメンを提…

京都を中学生が駆け回る短編集―ゆげ『京都中学生日記』

今日の更新は、ゆげ『京都中学生日記』です。 あらすじ・概要 京都に修学旅行にやってきた中学生たち。そこに、班分けの余りもので形成された班があった。男子とはぐれ、焦る班長だったが……。主人公を変えながら、京都の中学生を描く連作短編。

少女の背中を押す人を食う化物の優しさ―あおのなち『あなたの世界で終わりたい』

今日の更新は、あおのなち『あなたの世界で終わりたい』です。 前に読んだ同作者の短編集が面白かったので、こちらも買ってみました。 あらすじ・書籍概要 血を嫌う吸血鬼と、学校でいじめられている女子高生。女子高生は吸血鬼に、「あなたに食べられてもい…

政治サークルの壊れていく理想―小野不由美『華胥の幽夢』

今日の更新は、小野不由美『華胥の夢』です。 あらすじ・書籍概要 才の麒麟、采麟が体調不良を起こす。どうやら失道らしい……だが、采王のどこが間違っているというのだろうか。表題作『華胥』ほか、過去や日常をまとめた十二国記の番外短編集。

異性も同性もまとめて読める恋愛短編集―あおのなち『あの子に優しい世界がいい』

今日の更新は、あおのなち『あの子に優しい世界がいい』です。 あらすじ・書籍概要 アンドロイドのアンは、主人に煙たがれている。アンは主人の心を知りたいと望むが……。アンドロイドと人間、学校の友達、魔法使いのふたりなど、同性同士も異性同士も含む「…

ふざけるならまじめにやれ―草野原々『最後にして最初のアイドル』

今日の更新は、草野原々『最後にして最初のアイドル』です。 あらすじ アイドル活動をするために少女が自己改造を繰り返す表題作、ガチャで生活崩壊した少女が転生して進化していく『エヴォルーションがーるず』、声優の力を使って宇宙を進むスペースオペラ…

かわいいけれどどこかクールな雰囲気―香魚子『さよなら私たち』

今日の更新は、香魚子『さよなら私たち』です。 あらすじ 手をつないだまのふたりの少女の魂。このままでは三途の川を超えられない。少女たちは現世で自分たちの過去を調べるが……表題作ほか、思春期の少女たちを描いた短編集。

ウェットな感情が飛び交う短編集―TAGRO『DON'T TRUST OVER 30』

今日の更新は、TAGRO『DON'T TRUST OVER 30』です。 一巻完結のまんがを読むシリーズ。 あらすじ 漫画家として生活している男は、恋人に結婚したいと言われる。彼には父親への葛藤があった。ままならない大人たちの短編集。

それぞれの『運命の女の子』を描く短編集―ヤマシタトモコ『運命の女の子』感想

今日の更新は、ヤマシタトモコ『運命の女の子』です。 この人の短編集はときどき読みたくなりますね。 あらすじ 大量殺人鬼と対峙する女刑事を描いた「無敵」、男女が演劇をしていたころを回想する「君はスター」、すべての人が呪われた世界で一人だけ呪われ…

こっくりさんと契約した男の、悲しくも希望のある結末―乙一『天帝妖狐』再読感想

今日の更新は、『天帝妖狐』です。 久しぶりに読みたくなったので楽天koboで買いました。電子書籍は気が向いたときに買い戻せて、著者にお金を払えるのでいいですね。 あらすじ 杏子は道端で倒れていた夜木という男を拾う。顔を隠した夜木は、何か訳ありのよ…

地味だけれどじんわり面白い学園連作短編―岩岡ヒサエ『花ボーロ』感想

今日の更新は、岩岡ヒサエ『花ボーロ』です。 一巻完結の漫画を読むシリーズ。 あらすじ 先生、生徒、給食の調理人、彼らは関わり、すれ違い、それぞれの物語を紡いでいく……学校を舞台にした、連作短編漫画。

オチのひねり方が粋なSF短編集―フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』感想

今日の更新は、フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』です。 うっかりすると更新報告しているTwitterのアカウントが凍結されそうなタイトルですね。 あらすじ 精神病院に潜入することになったジョージ・バイン。彼には三年前からの記憶がな…

標本技師と事務員の密やかで耽美な恋 小川洋子『薬指の標本』再読感想

今日の本は『薬指の標本』です。 大学生のころから何回も読み返した本です。今回も読みたくなったので。 あらすじ 楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプ…

秋に閉じ込められたリプレイヤーたちのゆるい生活 恒川光太郎『秋の牢獄』再読感想

あらすじ 女子大生の藍は、自分が11月7日を繰り返していることに気づく。同じ境遇の「リプレイヤー」たちとつるみ、ループを楽しむ。しかし、「北風伯爵」という謎の存在がリプレイヤーたちを脅かしていて……。表題作含む三編を収録。

「役割」を持つ人たちの掌編集 いしいしんじ『雪屋のロッスさん』感想

あらすじ なぞなぞをするタクシー運転手、巨躯のプロバスケット選手、マッサージ上手な女性。何かの「役割」を持った人をテーマにした掌編集。

あいまいな感情を言語化してくれる短編集 吉本ばなな『とかげ』再読感想

この方時期によってよしもとだったり吉本だったりするので、ブログの作家タグをどっちに合わせるか悩みます。 たぶん中学生くらいの頃に読んだけれど、内容をきれいさっぱり忘れてました。 あらすじ 鍼灸師をやっている女性「とかげ」にプロポーズした「私」…

短編漫画からイラストカットまで小さな作品をまとめた本 森薫『森薫拾遺集』感想

ゆるゆる漫画を読みたいなと買ってみたら、漫画というより作品集でした。 書籍概要 『エマ』や『乙嫁語り』で人気を博した森薫。彼女の短編漫画、モノクロのイラスト、サイン会で配布したペーパーなど、小さな作品をまとめたよろず本。

人類を支配した宇宙人は神話世界を作り上げた 白井弓子『イワとニキの新婚旅行』感想

あらすじ 宇宙人の「帝国」が人類を支配して500年。帝国は効率的に支配をするために、人類が持つ神話を利用した。宇宙人に与えられた神話の中でときに抗い、ときにやり過ごす人類たちを描いた連作短編。

肥大化した横浜駅の中で生きる人々の悲喜こもごも 柞刈湯葉 『横浜駅SF 全国版』感想

この本はブログの収益で買いました。ありがとうございます! あらすじ 横浜駅が日本の国土を覆った未来。関門海峡を挟んで横浜駅から住居を守るJR九州、子ども型ロボットを放って横浜駅を調査するJR北海道、そしてエキナカに暮らす人々を描いた短編集。

失ったものを心に抱いて生きていく切なさ 緑川ゆき『愛蔵版 蛍火の杜へ』感想

有名作品だけれど実は読んだことがなかった話です。愛蔵版を見かけたのでこの機会に手に取ってみました。 あらすじ 少女、蛍は、山で不思議な青年ギンと出会う。彼は人間に触れられると消えてしまう存在だった。夏が来るたびに、二人は山で一緒に遊ぶ。やが…

空気が粘つくような暗い描写 田中慎弥『共喰い』感想

読みたいと思っていたけれどなかなか読めてなかった一冊です。 あらすじ 女性を殴る父親、そしてそれに似てきた息子を描く表題作、釣り好きの曾祖父の死を描いた「第三階層の魚」。二編を収録した一冊。

怖くておかしくて美しい短編小説をアンソロジーに 西崎憲編訳『怪奇小説日和 黄金時代傑作選』感想

書籍概要 おどろおどろしく、怖くて、美しい。そんな怪奇小説の18編を、古典的なものから新感覚なものまで、一冊にまとめ翻訳したアンソロジー。

しがらみにあふれたミュージシャンたちの恋愛模様 カズオ・イシグロ『夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』感想

あらすじ ベネチアで有名歌手と出会ったギター奏者、整形をするサックス奏者など、さまざまなミュージシャンや音楽好きを主人公とし、内容が少しずつつながりを持っている連作短編集。

子どもたちのためにフランスのホラー短編をピックアップ 平岡敦 編訳『最初の舞踏会 ホラー短編集3』感想

岩波少年文庫は、だいたいの図書館にあるのでとっつきやすいですよね。買うとしてもそれほど高くないし。 書籍概要 グロデスクなものから幽霊者まで、短編ホラー小説を子ども向けに翻訳・編集したアンソロジー。英米編に続くフランス編。

科学技術を駆使した叙情的な短編集 菅浩江『そばかすのフィギュア』感想

ハヤカワ文庫セールで買った本のラスト。 書籍概要 宇宙船の一部屋で暮らしている病気の少女、絵の学校にやってきた機械の少年など、さまざまな情景あふれるSF短編集。

不倫ものがやたらと多いけれど不思議と飽きない 向田邦子『思い出トランプ』感想

リーディングスタイルの企画、バースデー文庫の11月28日の本です。 私の誕生日。 【BOOK】当店オリジナルフェアの中でも展開当初から好評いただいているバースデー文庫。同じ誕生日の作家を本を読むきっかけにしてほしいという思いから生まれたこの企画。ご…