あらすじ・概要
アニメ化がこけたライトノベル作家、神陽太は、税金対策として幼馴染の結麻をアシスタントとして雇った。彼の元には天才肌の高校生作家や、中二病の中学生作家がやってくる。「売り豚」として売れるラノベを追求する陽太が、金にこだわるある理由とは……。
主人公が根暗だけどいいやつ
主人公が嫉妬深く、自分より売れている作品に向かって「初動に貢献したくないから発売日には買わない」とのたまってしまいます。しかもコミュニケーションが苦手で、失敗もしてしまいます。
しかしよくよく読んでみると、陽太はすごくいいやつだということがわかるんですよね。
酔った勢いで年下の作家、エルに説教をしてしまい、禁酒を誓ったり彼女にちゃんと謝ったりします。「主人公がヒロインに説教をする」というの、ライトノベルにありがちな展開なんですけれど、それを陽太は現実においては「気持ち悪いこと」と認識しているのが倫理が高いです。
そういう主人公のキャラクターだからこそ複数の女性に慕われても嫌な感じがしなくて、気持ちよく読むことができました。
メインヒロインである結麻が「ライトノベルの良さがわからない」タイプの女性であることも面白いです。ラブコメなので、結麻も陽太に好意を抱いているのですが、それでも陽太の書いているもののよさ、ラノベに夢中になる気持ちが全くわかりません。
メインヒロインを主人公の理解者にしないところが、「この世界はひとつの価値観で回ってるわけじゃないんだな」と思えて好きでした。
主人公にみんな好意的な中、わかりあえないことが作品に少しのリアリティを与えています。
主人公陽太の本命は最初から決まっているみたいだし、そういう意味でも安心して読めます。ラストシーンはドキドキしました。
面白かった!