あらすじ・概要
出口の見えないコロナ禍の中、犯罪に手を染める普通の人々が増えている。持続化給付金を不正受給した主婦集団、闇バイトに手を出す大学生たち。彼らはなぜ、どのようにして犯罪者となったのか。
犯罪者と普通の人の垣根なんて低い
録画で見て興味深かったので感想を書くことにしました。
まず恐ろしかったのは富田林の持続化補助金不正受給事件です。ひとりの主婦から次々に不正受給が伝播していき、巨額の詐欺事件(不正受給は詐欺罪に問われる)になりました。
人望のある主婦が中心となり、祭りでつながる地域関係から不正受給が派生していき、ねずみ講のように紹介した人間にお金が入っていきます。
さらに恐ろしいのは、この不正受給事件に関係した主婦たちがごく普通の人たちで、警察の取り調べを受けて深く反省しているところです。
案外、犯罪者と普通の人の垣根というのは低いのかもしれない。そう思わされてしまった場面でした。
若者たちに「闇バイト」が広まっていくのも恐ろしかったです。
まず最初に免許証などの個人情報を預かり、怖がって逃げ出そうとすると個人情報を盾に脅しをかけます。そして若者たちを支配していくのです。
普通に考えたら「怪しいな」と思うはずなんですが、コロナ禍の困窮と、情報弱者であることが視野を狭くしてしまうのでしょうね。
さらに、闇バイトに関わる人にはそこそこお金があるような人も含まれているそうです。彼らはコロナ禍での収入減によって今の豊かな生活を維持できなくなり、闇バイトに手を出してしまいます。
人間、200円の食パンを100円にするのはつらいです。愚かだなあと思いつつ、それが人生なのかもしれません。
「普通の人」のモラルが崩壊しかかっている一方で、そのモラル崩壊の原因はコロナウイルスの蔓延にあります。警察の取り締まりは焼け石に水だろうと思いつつ、それでも治安維持のためにやるしかないのでしょうね。つらい。
見ていて暗い気持ちになるドキュメンタリーでしたが、内容としては面白かったです。