あらすじ・概要
王国アルデーリアのレオーネは、姫でありながら将軍として活躍していた女性。しかし敵国ゼルジオスとの停戦が決定し、その証として敵将ベルトルドに嫁ぐことになる。ベルトルドはレオーネの戦場での好敵手だった。腹をくくって敵国に嫁いだレオーネは、荒廃したゼルジオスの王都を見て……。
強い女が強いまま敵国に嫁ぐ
前にどこかの男性ついったらーが「強い女が好きだけど途中でポンコツ化されるのが嫌だ」って言っていて、これはそういう強い女が大好きな人に読ませたい作品です。
主人公のレオーネは戦場ではめちゃくちゃ強く、ベルトルドに嫁いでからもその強さに裏打ちされた優しさで使用人や王太子と接していきます。
相手役であるベルトルドも、レオーネの強さを尊重しており、男だから、夫だからという理由でマウントを取ったり差別的な発言をしたりしません。
「かっこいい女性を見る」という点で邪魔なストレスがありません。
とはいえこの作品はチート路線ではなく、レオーネがすぐ解決できない問題もたくさんあります。侵略行為のやりすぎで荒れ果てた国、ベルトルドが支えている次期国王である少年、敵国からやってきた王女に対する周囲の目線。
でもそういう諸問題を解決したいと思うところにレオーネの優しさがあります。
敵対CP大好きなので、敵対していた者同士がなんやかんやあって結婚してぎこちなく「夫婦」になるところがたまらなくよかったです。
周囲も敵国の姫を受け入れるのに時間がかかるし、自分自身もすんなり夫婦になることができなくて、そのもどかしさに萌えました。
Amazonレビューで「恋愛要素が少ない」という批判があったんですけれどこれは少ない方がいいに決まってるじゃないですか? レオーネもベルトルドも色ボケたり政治そっちのけでイチャイチャしないからかっこいいんですよ。恋心はもちろんありますが、信頼の話なんですよね。
唯一ストーリーに不満があるとしたら、ベルトルドがどうしてレオーネを恋愛的に好きになったのかがあまり掘り下げられていないことすね。これはレオーネの一人称で展開する以上仕方がないのですが。
でも「こういう話を求めていた!」という作品で面白かったです。