あらすじ・概要
毒家族の家庭に育った著者は自分自身を「ゆがみちゃん」というキャラクターに投影し、漫画として過去をつづる。父、母、祖母にゆがみは暴言を吐かれ続けていた。さらに男尊女卑の家庭で男子である兄は不合理にえこひいきされている。家族を嫌っているゆがみは、働いて家を脱出しようと試みる。
自分は闇を引き継がない、毒を解毒して生きていく
かなり暗い内容の作品で、読むのはちょっとつらかったです。でも最終的にはポジティブに終わってよかった。
印象的な部分は、恋人や友人などよい周囲に恵まれて精神的に安定し、毒家庭育ちであっても幸せになれるのだと気づいた一方で、結婚し環境が変わった瞬間一気に闇感情に囚われてしまったところです。
ネガティブな感情ゆえ人を攻撃したくなったり、人と比較されるのに敏感になったりします。
正直著者が夫であるいやしさん(仮名)に出会ったシーンでは、「このまま周りに恵まれて過去から決別しました!」という内容になるのかと思っていました。そうではなかった。環境の変化で好転したってまた環境の変化によってだめになる、自分が主体にならないと変化に適応できないという話でした。
じゃあ自分が主体となって幸せになるためにはどうすればいいのか、ということが最後に書かれています。
この作品のテーマは毒親だけれど、毒親を持っているいないに関わらず学ぶところが多かったです。
著者のような過激な経験はしていなくても、無意識に固定観念に囚われ、完璧主義に呪われ、足を引っ張られていることってよくあることだと思うんですよ。私も引きこもりだったときはそうだったし。
他者に呪いを解いてもらうのではなく、自分で解かないと新しい呪いを引き受けてしまいます。
著者があとがきに書いていることが象徴的でした。
私が今回、自分の半生を漫画にしたのは、共感がほしいわけでも、慰めてほしいわけでも、親を断罪したいわけでもありません。前述したような社会に蔓延する理不尽(毒)の連鎖を断ち切りたいと強く思ったからです。
(P181)
親がどうあれ、自分自身は毒を引き受けない、ため込まずほどほどに解毒しながら生きていく。著者には休み休みながらも頑張ってほしいなと思います。